感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
きゅー
12
Wなる架空の国の観察記と、ペレックの子供の頃の思い出が章ごとに順次語られる。このW国は陸上競技のみで産業が成り立っている奇怪な国となっており、両者の物語がどのように交わるのか不明なまま結末に至り、自身の飲み込みの悪さを恥ずかしく感じた。両者の物語はある共通点によってゆるやかに接続する。そしてその共通点によって意味不明なW国の真相が顕わになる。バカバカしくも真剣な陸上競技が何を意味していたのか、ペレックは何度も強く語りかけていたのにそれに気づきもしなかった。読書中と読後でガラリと印象の変わった一冊だった。2014/04/24
水原由紀/Yuki Mizuhara
2
「W」というスポーツを中心とする過酷な規範で完璧にシステム化された架空の島と、「ぼく」の記憶を辿る詳細な伝記が交互に展開される。この作品におけるWの記録=フィクションはリアルに流入し、逆に自伝=リアルはフィクションに変形していく。終着点が収容所であること“だけ”に目を奪われてはいけない。もちろんそれは作者ペレックにとっても、世界史にとっても甚大な出来事ではあるが、それ以上にこの小説内部で起きている世界の立ち上げ方、一見相容れないものが互いにその性質を保ちながら侵食し合うという事態に着目すると景色が変わる。2012/06/05
笠井康平
1
書くことにとても誠実な人だった。
nranjen
0
Perec自身について伝わって来た気がする。W国は恐ろしく重い意味を持っていたのですね。文の倒置は原文?原文読んでみたい…2016/03/10
Yossarian
0
『人生使用法』があまりにも面白くあまりにも混沌としていたので、その流れで読んだ。