内容説明
哲学者×写真家、知られざるボードリヤール。哲学と文化の高度に特異的で挑発的な分析を展開したユニークな思想家ボードリヤールの新しい像。―ボードリヤール撮影による写真8葉収録。
目次
序章
1 ボードリヤールとモノへの情熱(記号としてのモノ;シミュラークルとしてのモノ;犯罪の対象としてのモノ;陰謀の対象としてのモノ;情熱の対象としてのモノ)
2 現代思想の写真論(ボードリヤール講演録・一九九九年四月七日)(ジャン・ボードリヤール講演「モノが私たちのことを考えている」;ボードリヤールと聴衆との討論)
終章 モノの運命
著者等紹介
ソヴァージョ,アンヌ[ソヴァージョ,アンヌ] [Sauvageot,Anne]
トゥールーズ・ジャン・ジョレス大学名誉教授。社会学専攻。ヴァーチャル・リアリティの社会的文化的インパクト、デジタルメディアの社会的機能やその影響の研究などで著名。VR研究でフランス政府調査団に参加し来日(1998)
塚原史[ツカハラフミ]
早稲田大学名誉教授。専攻はフランス現代思想、ダダ・シュルレアリスム研究(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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sayan
39
曇天が続く中、表紙の鮮やかな「青色」に惹かれて本書を手に取る。映画マトリックスの新作発表もあり、ボードリヤールの名を目にする事も多々。読みどころは、思想家と写真家の乖離と矛盾が露わになり、容赦なく聴衆から質疑を受ける、1999年の討論会の一幕。それは、オリジナルと模像の区別がつかない状況(=ハイパーリアル)を時に鋭く、激烈な批評した本人が作品(写真、イメージ)を生み出している点への聴衆の戸惑いと疑問が入り混じった反応が生々しい。溢れる熱気もコロナ禍では当分味わえないなと本書を読み終え一抹の寂寥感が残った。2021/09/28