内容説明
進展がめざましい脳科学の分野では現在、脳と医療科学技術をめぐる倫理のあり方が問われている。歴史の浅い議論ながら、急速な技術発展とともに、その問いの圏域は拡大し、世界的に緊急のテーマとなっている。本書は、多様なトピックから脳神経倫理学(ニューロエシックス)の輪郭を描き出す入門書であると同時に、ラディカルな批判書である。
目次
序章 脳を異化するために
第1章 ニューロエシックス入門
第2章 脳ドーピングの時代
第3章 脳の地図
第4章 「植物状態」とミニマルな意識
第5章 サイボーグ学とブレインマシンインターフェース
第6章 可塑性とその分身
第7章 隠喩としての脳
第8章 ミラーニューロンのレッスン
著者等紹介
美馬達哉[ミマタツヤ]
1966年、大阪生れ。京都大学大学院医学研究科博士課程修了。現在、京都大学医学研究科准教授(高次脳機能総合研究センター)。専門は、臨床脳生理学、医療社会学、医療人類学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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メルセ・ひすい
2
14-69赤67★5 ここまで来てしまった。「最小意識状態」という概念!植物状態の脳と回復に望みを繋ぐ家族とのコミュニケーションが可能に…。バイオエシックス…脳科学は今、人間の☆主体とはナンゾヤ? 人の意識とは? 脳細胞のソフトの領域までズケズケ入り込んできた医学。終りのないエスカレートする恐怖が (;´▽`A``)歴史の浅い議論ながら、急速な技術発展と共にその問いの圏域は拡大し、世界的に緊急のテーマとなっている。多様なトピックから脳神経倫理学の輪郭を描き出す入門書であると同時に、ラディカルな批評2011/02/14
メルセ・ひすい
1
赤67 ニューロエシックス ニューロ(脳・神経)+エシックス(倫理学)=ニューロエシックス。2002.05.13 サンフランシスコ。 ☆人間の脳を治療したり、その脳を完璧にしようとしたり、望ましくない侵襲を加えたり、危なっかしい操作を加えたりすることについて、何が正しく何が間違っているか、何が良いことで何が悪いことという点を検討 すること。 2011/02/24
まゆまろ
0
私が初めて神経倫理学と出会った本。脳科学にはかねてから興味を持っていたが、mind readingやBMI、認知的エンハンスメントの問題について、この本を読んで考えさせられ、科学の発展に伴う倫理的問題について真剣に考えないといけないと思った。特に脳死と臓器移植の問題は、脳死=死と考えて良いのか、法律は科学的な根拠を持って作られないといけないと感じた。2015/11/26
disktnk
0
副題の通り脳神経倫理学入門の本だけど,著者の興味のあるネタを著者自身のためにまとめたような本だった.脳神経に対する倫理なので,これからの話が多くなるのはしょうがないけど,もう既に問題となっている話(鬱病の薬をエンハンスで使う問題など)からまだまだ初期研究段階の話(サイボーグ化など)まであって,整理しながら読んでいた. 2012/03/26
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