内容説明
中国文化を大局的にとらえる場合、人間ないし生物次元の基本的な欲望から出発するという視点は外しがたい。長寿、不死、昇仙などの伝統的なユートピア志向、そしてそれを実現せんがための実践技法がさまざまに開発されてきた。「不老不死」をキーワードに、中国人独特の「気」の世界の根源、ひいては東アジアの自然観、生命観の依って立つところに鋭く切り込んだ、注目のエッセイ10編。
目次
不老不死という欲望
造化の奪取―煉丹術小論
老翁から嬰児へ―時間の溯行
心は神明の主―古代中国人の臓器観
身外の身―道教における悟り
道教の倫理思想―卿希泰先生の講話に寄せて
円相と太極図
中国人のユートピア
中国人の自然観―生命体としての自然
媒介としての気