内容説明
ドイツ観念論を代表する哲学者シェリング。超越論的観念論や自然哲学などで名高いその思想は、近年世界的な再評価が高まっている。しかし、国家と宗教のあり方が揺れる革命の時代を生き抜いたシェリングが一貫して論じたのは、実は政治に抗するための政治哲学ではなかったか。つまり「反政治」という形で。シェリング研究の最前線を取り込み、「自由」「信と知」「ケノーシス」といったテーマを潜り抜け、このテーゼの論証に捧げられた新鋭による成果。シェリングを政治哲学として読み解き、全体像の転換を図る画期作。
目次
序論 正統と革命のはざまに立つシェリング―先行研究の整理
第1章 新しい神話とその前史―若き日のシェリングを取り巻く言説状況(シェリングの生涯小史;シェリングが生きた時代―「長い一九世紀」と「神の死」 ほか)
第2章 ラディカルに開かれた「同一性」をめぐる思考―完成と個性のあいだの葛藤(歴史の完成と悲劇―テュービンゲン正統派との対決と『独断主義と批判主義にかんする哲学書簡』;信と知をめぐるエッシェンマイアーとの対話―『哲学と宗教』について ほか)
第3章 国家の中の居心地悪さ―必要悪としての法と政治(自壊する自然法と救済する学―『自然法の新演繹』について;「代補」としての国家―『超越論的観念論の体系』について ほか)
第4章 ケノーシス的終末論としての哲学的宗教―『啓示の哲学』の「未来」(シェリングの終末論とその政治批判―サイティヤ・ブラータ・ダスの『シェリングの政治神学』(二〇一六年)を例に
来たるべき哲学的宗教の時代 ほか)
著者等紹介
中村徳仁[ナカムラノリヒト]
1995年、京都府生まれ。京都大学大学院人間・環境学研究科博士後期課程修了。博士(人間・環境学)。ドイツ・テュービンゲン大学博士研究員を経て、三重大学人文学部助教。専門は近現代ドイツ哲学、社会思想史。批評誌『夜航』主宰、日本エルンスト・ブロッホ研究会発起人。主な論文にDas Unbehagen im Naturrecht(Schelling Studien 10、第64回ドイツ語学文学振興会奨励賞)など(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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