現代思想からの動物論―戦争・主権・生政治

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  • サイズ 46判/ページ数 404p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784409031056
  • NDC分類 104
  • Cコード C1010

内容説明

人文学では近年、動物というテーマが盛んに議論され、脱人間中心主義へと向かう現代の思想潮流とも響き合い、ますます熱を帯びたものとなっている。本書はその流れに決定的なインパクトをもたらすだけでなく、あらゆる思想概念に根底的な再考を迫る理論的成果である。フーコー、アガンベン、デリダ、ハラウェイ、スピヴァク、キムリッカなど広範な思想家の理論を通し、「動物」という視角から主権や統治といった概念を批判的再審に付す作業は、現代思想の限界を示すと同時に、新たな可能性をももたらすものとなるだろう。人間と動物との暴力的関係を停止し、存在の新たな関係を構想する、力みなぎる一書。

目次

生け吊り
第1部 生政治(剥き出しの生;統治性)
第2部 征服(免疫;財産と商品)
第3部 私的支配(私有化と格納;伴侶関係)
第4部 主権(潜在能力;愚かさの暴力)
停戦

著者等紹介

ワディウェル,ディネシュ・J.[ワディウェル,ディネシュJ.] [Wadiwel,Dinesh Joseph]
オーストラリアの人権・社会法学者。市民団体の一員として15年以上にわたり貧困僕滅運動や障害者支援に携わる。2005年、西シドニー大学で博士号を収め、現在、シドニー大学の上級講師。主な研究領域は暴力理論、人種理論、障害者の権利論、批判的動物研究。シドニー大学の人間動物研究ネットワーク(HARN)議長、障害者の権利研究ネットワーク共同議長を務める。論文多数

井上太一[イノウエタイチ]
翻訳家。日本の動植物倫理・環境倫理を前進させるべく、関連する海外文献の翻訳に従事。訳書多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

Mealla0v0

2
フーコー、アガンベン、ンベンベ、ハラウェイ、デリダの思想の要約としても優秀だが、著者の「動物戦争」という視座の独自性が光る。生政治の概念の中核を、人間/動物の分割と生死の分割の重なりに見出し、人間の動物支配のテクノロジーが人間の人間支配へと流用されたことに注目する。現代の食肉産業・ペット産業における動物への組織暴力を生政治と主権の弁証法的結合との緊張に看取する。非常に刺激的で、論争的。訳語も一新されており、司牧権力が「牧羊権力」と訳されているのは文脈上、適訳といった感じ。2020/05/14

中村蓮

1
アウトラインとしては面白いんですが、現代思想を広く浅く動物論として検討する論って感じです。 主権論何かは割と面白いんで、訳者解説はかなり力入ってるんですが、書籍自体の射程としては動物解放運動あたりの自己批判とさらなる理論化のように読みました。 もう少し現代思想をさかのぼって少し言及のあるアリストテレス、そこまでさかのぼれなくてもロックあたりまでから考えれば、訳の射程どおり人文学の動物論的転回が狙えそうです。2020/08/16

st0615

0
日本語版の改題が的確で、現代思想を使った動物「論」の本。人間対動物の戦争と定義して、クラウゼヴィッツの戦争定義を引いており、一見その定義の字ずらと状況が合っているように見えるが、事実として、人間と動物は戦争状態ではないと思いますよ。レトリックとして認めるとしても、そのようにパラフレーズすることによって何がクリアになっているのか疑問。動物が生政治的状況に置かれているというのは、トリビアルすぎて、「戦争」とか関係ない気がします。2021/12/13

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