出版社内容情報
フーコ-とチョムスキーへの討論を手がかりに根底から変化する社会と人間の関係から現代資本主義の本質を分析する。
内容説明
人間的能力のすべてを労働へと動員し、その生物としての存在を剥き出しにするポストフォーディズム。フーコーとチョムスキーの討論を手がかりに、根底から変化する社会と人間の関係から現代資本主義の本質を分析する、『マルチチュードの文法』に続く講義形式の入門書。本書刊行後に書かれた論文2本を付す。
目次
序
第1章 「人間的自然」をめぐるチョムスキーとフーコーの討論
第2章 本能の貧困な動物
第3章 現代の資本主義:差異と反復
第4章 宗教と生物学的不変項
第5章 結論:社会科学の自然化のために
鏡ニューロン、言語的否定、相互認知
いわゆる「悪」と国家批判
著者等紹介
ヴィルノ,パオロ[ヴィルノ,パオロ][Virno,Paolo]
1952年、ナポリ生まれ。ネグリらのもとで70年代に参加した反体制的革命運動により、1979年から3年間投獄される。シナリオライター、ジャーナリスト(日刊紙「il manifesto」)、出版社の編集者などを経て、現在はカラブリア大学文学部哲学科助教授
柱本元彦[ハシラモトモトヒコ]
1961年生まれ。京都大学大学院博士後期課程修了。ナポリ東洋大学講師などを経て、現在は大学非常勤講師、翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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らむだ
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cf.2012/04/20
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「現代の労働において、人間はフレキシブルな奴隷に過ぎないのか?」という刺激的な帯に惹かれて購入。平易に書かれているが簡単でもない。人間は未熟性=メタ歴史、人間的自然、がむき出しの生物。〈環境〉を持たず〈世界〉の中に生きるが、〈疑似環境〉として文化がある。メタ歴史は変動期に顕在化するものだった。しかしポストフォーディズムの現代では、資本主義が人間的自然をそのまま生産に用いる時代となった。この主張は割と前提にっている気がする。フーコーとチョムスキーの討論での両極端な立場から、その間隙を縫って論を進める。2025/05/31