内容説明
1941年12月8日午前6時45分―「なんだ、あれは?」千葉県犬吠崎東方200海里の太平洋上で、索敵活動に従事していた1隻の哨戒艇の乗組員が、東の水平線上に、北から南に向かって流れる多数の黒煙を発見した。空は雲に覆われていたが、10分ほど前に水平線の向こうに昇った朝日の陽光が、透けて見えている。その白い光を背景に、たしかに何本もの黒煙が、風に乗って流れていた。哨戒艇に乗り込んでいた海軍の特務士官が、操舵室から顔を突き出して、目に双眼鏡を当てた。「うあっ!」若い特務士官は、双眼鏡のレンズ越しに見えた多数の艦影に、悲鳴のような甲高い声をあげた。複雑な形の艦橋を持つ艦影は、戦艦か巡洋艦のものだ。駆逐艦も混じっている。上部がたいらな大型艦の艦影も見えた。まちがいない、あれは空母だ。―日本海軍の艦隊か?―ちがう!特務士官は自問自答した。戦艦と巡洋艦の艦橋のシルエットが、日本海軍のものとは異なっていた。双眼鏡のなかに見えているのは、まぎれもなくアメリカ海軍の空母を主力とした機動部隊であった―。
著者等紹介
菅谷充[スガヤミツル]
1950年、静岡県生まれ。小学生のとき松本零士氏の戦記漫画に憧れ、航空戦記漫画を描き始める。高校時代から石ノ森章太郎氏に師事し、’72年『仮面ライダー』(原作・石ノ森章太郎)で漫画家デビュー。’83年『ゲームセンターあらし』で第28回小学館漫画賞受賞。’94年、近未来航空戦記『漆黒の独立航空隊』(有楽出版社)で小説家デビュー。以後、架空戦記と自動車レース小説を多数執筆(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
sibasiba
sfこと古谷俊一