内容説明
人気まんがのキャラクター・ニャロメが本格推理に大活躍!アルバイト先のプロダクションが突然倒産、路頭に迷っていた駆け出しアニメーター・玄也は、初めて出会った男・早見から才能を認められ大きな仕事を任されることに。必死の思いで「探偵王ニャロメ」を完成させた玄也だが、それをもって早見企画に行くと、何と早見社長が行方不明になっていた。その晩、玄也のもとにかかってきた、早見からと思われる電話にあわてて出かけていくと、そこには早見の死体が!第一容疑者として疑われた玄也は、早見の娘・朝夜と真犯人探しを始めるが…。人気まんがのキャラクターが入り乱れて大活躍するパラレルワールドと現実の事件がどこで交錯するのか、辻マジックの妙、ここに全開。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
雪紫
56
再読。脚本家の特権で館ミステリの世界で暴れ回るニャロメや鬼太郎、アトム、ヒゲオヤジ。同じ形式の「アリスの国」がイケたんだからこれも復刊して欲しいやつ。小森健太朗さん好きならやっぱ読んで損はないし、驚くこと受け合い。本当にはちゃめちゃに見えて意外にしっかりしてるよなぁ。やっぱり読んでて楽しいー!2024/06/27
雪紫
16
再読。メディアミックスか、辻さん自身がアニメ脚本担当してたからなのかニャロメ、アトム、鬼太郎などのキャラクターがのさばるミステリ企画「探偵王ニャロメ」・・・その作者が巻き込まれる事件とニャロメが、とんでも展開で繋がっていくはちゃめちゃミステリ。現実の奇数章より「探偵王ニャロメ」の偶数章が「辻さん楽しんでるな!」と言いたくなる。メタ展開や世界観を生かした推理がダミー含めて実に楽しい。しかもこれ、はちゃめちゃに見えて意外とフェアなのだ。密室ならぬ蜜室殺人の入れ替わった凶器の謎がツボ。もっと知られるべき。2019/09/10
臓物ちゃん
4
愛川晶「死への密室」(『カレーライスは知っていた』収録)みたいに赤塚不二夫作品をネタにした、なごみハチャメチャ変格メタミステリ。「化猫館」という一松が好きそーな館を舞台に、ニャロメを始めアトムに鬼太郎に一休さんと昭和っ面した二次元な奴らが密室の謎に挑む中、アニメ製作側でも事件が発生して…。おいおいこんなに他所のキャラ登場させたら某第一話みたいに怒られるぞと思ったら、どれもアニメの脚本を書いたのが辻先生本人というのがたまげた。小森健太朗『ローウェル城の密室』の発展形態みたいなトリックも乙。まさに隠れた名作。2016/02/16
三丁目の書生
2
辻真先先生の仕掛けが楽しいミステリー。こういうミステリーを何と言うんですか?「メタミステリ」というのかな。 ともかくこういう仕掛けが楽しいので辻作品が好きなのです。 現実世界にフィクションのキャラがなだれ込んで来る掟破りの展開! どう結末をつけるのかと思ってたら驚きの結末が! ところで私はかなり昔、膨大な辻作品の構造を解明するために辻作品全巻読破を志したのですが一向に進んでいません。 https://sfkid.seesaa.net/article/478179361.html2020/10/31