出版社内容情報
念願かなって海外旅行の添乗員になった遥。風光明媚なアイスランド、スロベニア、食べ物がおいしいパリ、北京……異国の地でツアー参加客の特別な瞬間に寄り添い、ひとり奮闘しながら旅を続ける。そんな仕事の醍醐味を知り始めたころ、思わぬ事態が訪れて――。
ままならない人生の転機や旅立ちを誠実な筆致で描く、ウェルメイドな連作短編集。
解説/藤田香織
内容説明
念願かなって海外旅行の添乗員になった遙。風光明媚なアイスランド、スロベニア、食べ物がおいしいパリ、北京…異国の地でツアー参加客の特別な瞬間に寄り添い、ひとり奮闘しながら旅を続ける。そんな仕事の醍醐味を知り始めたころ、思わぬ事態が訪れて―。ままならない人生の転機や旅立ちを誠実な筆致で描く、ウェルメイドな連作短編集。
著者等紹介
近藤史恵[コンドウフミエ]
1969年大阪市生まれ。大阪芸術大学文芸学科卒業。93年『凍える島』で第4回鮎川哲也賞を受賞しデビュー。2008年自転車ロードレースを描いた『サクリファイス』は第10回大藪春彦賞、本屋大賞第2位に輝く(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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さてさて
182
『思い返せば、子供の頃から、遠くの世界に憧れていた』、『どうしても、旅を仕事にしたかったのだ』。そんな思いの先に『海外旅行添乗員』としての日々を送る主人公の遥。この作品には、そんな遥がはじめて添乗した『アイスランド』への旅から始まる『海外旅行添乗員』の”お仕事”の舞台裏を見る物語が描かれていました。まだ行ったことのない世界に行った気分にさせてくれるこの作品。その一方で、『海外旅行添乗員』の大変さを改めて思いもするこの作品。旅することの喜びを、未知の世界を知る喜びを強く感じさせてくれた素晴らしい作品でした。2024/11/17
ふう
80
読み終えて、わたしも旅に出たくなりました。行き先はクロアチア、スロベニア。もちろん添乗員さんのいるツアーで。一度だけ行った海外旅行は北欧4カ国をめぐるツアーでした。ベテランの落ち着いた添乗員さんで、安心してついて行きました。彼女にもたまごの時代があって、いろいろな苦労があったのでしょうね。どんな参加者にもいい旅だったと思ってもらえるように気を配り、不愉快なことがあっても知恵と根性で対応していく…。旅だけでなく人も好きでないとできない仕事ですね。コロナ禍で厳しい状況に置かれた人々への応援もこめられた作品です2024/08/18
はにこ
64
新人ツアーコンダクターのお話。添乗員付きツアーって一度しか参加したことが無いんだけど、本当によく見てらっしゃるんだよね。到底私には務まらないと思った。ツアーって時に50人くらいのものもあるからいろんな人がいるんだろうな。病気もあるしロストバゲージもあるし。この本を読んで久々に旅に出たくなった。団体ツアーで新しい交流を持つのも楽しそう。コロナ、いろんな業界が大変だったなぁとしみじみ思った。2025/05/13
Kazuko Ohta
61
近藤さんでしょ、「たまご」でしょ、表紙にはクロワッサンでしょ。てっきり卵料理が並ぶ話かと思ったら、「旅人」のほうでした。私自身は観光地にほぼ興味がなくて、どこかへ行っても同じ宿に連泊、出かけるのは近所のスーパーやモールぐらい。ボーッと本を読んで、美味しいものを食べるだけという旅が好きです。本作を読んで尚更思う、私にはツアーに参加するのは無理なのはもちろんのこと、添乗員は絶対にできそうにない。客のわがまま、聞けません(^^;。だけどこんなふうに観光地を巡るのも悪くはないかなと思うのでした。添乗員さん、凄い。2024/12/18
eiro
49
旅行中読書しようと本を持っていくが結局読まない。そんなあなたにお勧めです。ツアー旅行の駆出し添乗員さんの話。ツアー旅行参加前に準備しておくものなどが書かれたしおりを読まず、文句ばかり言う人。他の参加者へ迷惑かける人などが主人公を困らせる。でもロストバッゲージの対応なんかちゃんとやっているよ。頑張れ遥。それにしてもツアー旅行はラク。バックパッカーの時、苦労した分楽しさひとしおだったが、ツアーは上げ膳据え膳、集合時間さえ守ればよい。もう少しこの場でゆっくりしたかったな、はあるけど最近はそれでもいいかもです。2024/09/03