出版社内容情報
あの人と結ばれますように――
祈りとエロスの物語
夫に浮気されたから、もっと美しくなりたいと美人祈願で知られる河合神社を訪れた女(「美人祈願」)。お酒の神様・松尾大社で、酒屋の女店主と出会った男(「酔いの宮」)、仕事に恵まれるよう手を合わせる売れないタレント(「芸能神社」)――願いを込めて京都の神社を訪れる男女の出会いと、情愛の行方を艶やかな筆致で描く、官能連作短編集。
解説/木村寿伸
内容説明
夫に浮気されたから、もっと美しくなりたいと美人祈願で知られる河合神社を訪れた女(「美人祈願」)。お酒の神様・松尾大社で、酒屋の女店主と出会った男(「酔いの宮」)、仕事に恵まれるよう手を合わせる売れないタレント(「芸能神社」)―願いを込めて京都の神社を訪れる男女の出会いと、情愛の行方を艶やかな筆致で描く、官能連作短編集。
著者等紹介
花房観音[ハナブサカンノン]
兵庫県生まれ。京都女子大学中退後、映画会社、旅行会社などを経てバスガイドを務めるかたわら小説を執筆。2010年、第一回団鬼六賞大賞を『花祀り』で受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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じいじ
70
花房観音の新作と言うことで読んでみた。6話の連作短篇で花房さんらしいソツがない出来だった。花房官能小説は『寂花の雫 』など長編の方が読み応えがあって私は好きである。今作の6話の中では、老いらくには一歩手前の男の哀愁を綴った【酔いの宮】が、主人公に親近感を感じて面白かった。2024/03/31
りゅう☆
56
下鴨神社にいた美人には浮気夫がいて…。市比賣神社で羨望の女と成就したのに子どもが欲しくて結婚したけどやっぱり…。今宮神社で亡父の後妻と出会うも彼女の本心を知っても尚…。護王神社でふくらはぎに魅力を感じた女の思惑を知った時…。車折神社でセックスなしでも充分気持ちのいいことを知ってしまい…。松尾大社で見つけた酒屋職で酒のトラウマを克服できるか…。京都のいわれのある神社で出会った男女・女女が体の関係を持つ。心のわだかまりはあるのに性の欲望が抑えられない。歴史が息づく京都が観音さんにかかれば艶めかしさしかないね。2025/03/09
けいこ
35
久しぶりの花房観音さん。今回も京都の現役バスガイドさんらしく、京都を舞台に『ご利益』をテーマにした官能短編集。恋愛や芸能、商売などにご利益がある実在の神社が出てくる。どれも欲を満たしたい女性の行動が怖い。『芸能神社』はなんとなく主人公の女性を応援したくなる様な毛色が違って良かったかな。久しぶりに読んだせいか、官能表現が直接的すぎて恥ずかしかった(笑)2024/03/06
金吾
29
京都を舞台にした男女の性の短編集です。みんなそうなのかと思わせる部分もありますが、さらっと読んでしまいます。「芸能神社」「酔いの宮」が面白かったです。2024/04/18
桜もち 太郎
17
京都を舞台にした短篇6作品は、神社の果たす役割が大きい。花房作品は言わずと知れた官能の世界。神社と官能、全くの対極にあるような感じがするが、絶妙にマッチするんだなこれが。神社での出会い、神社をきっかけにして新たな人生が開けたり。「ただ、したい、その気持ちだけでするのが、まぐわいというものだ」、セックスに目的を持ったら快楽は失われる。気持ちのままに、本能のままに、理性を取っ払い、気持ちだけでする行為、登場人物たちはそんな最高なセックスをしていた。何かまぐわいが厳粛な行為に感じた。ヤッパリ花房観音サイコー。2024/03/19