内容説明
世の中が円くおさまるようにと、全ての料理を円い器に盛って出す「わん屋」。跡取り息子の誕生、縁を取り持った娘の嫁入りと、順風満帆。そこへ、同心が妙な話を持ちこんでくる。江戸を騒がせている盗賊を追うため足跡をたどると、寂しい感じの小料理屋に辿りついた。悪事に関わりはないようだが、何か秘密が…。書き下ろし江戸人情物語。
著者等紹介
倉阪鬼一郎[クラサカキイチロウ]
1960年三重県生まれ。早稲田大学第一文学部卒。87年にデビュー。音楽、料理、俳句ほか多彩な知識を作風に生かし、時代小説からミステリーやホラー小説なども手がける。著書多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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むつこ
28
シリーズ3作目。あれ?たしか主人公には生まれたばかりの子供がいたはずなのになんで表紙のイラストは結婚のお披露目なんだろうと誰がなんだろう?と疑問に思いながら読み続けた。わん屋シリーズらしい穏やかな展開と切ない物語り。こんな奇妙な幽霊話があってもいいなぁ~と秋彼岸の今日、しみじみと感慨深かった。2020/09/20
らび
23
料理がどれも美味しそう。夏のお江戸はギヤマンの器が涼を感じさせますね。おまきちゃんの嫁入りの傍らで月命日の1日だけ想い人と過ごすひと時に切なさが漂います。円ちゃんの成長が可愛い。2020/06/25
よっしー
15
今回も大きな事件もなく、のんびりした気持ちで読めました。また新たな夫婦の誕生に始まり、円造が日々成長する様子が書かれており、幸せな日々なのだなと。そんな中、月命日にのみ還ってくる亡くなった娘の霊。普通に考えたらホラーでしかない状況なのに、当たり前に周囲が受け入れる環境というのがまた不思議でした。そんな不思議も受け入れてきたのが江戸という時代なのでしょうか。2023/05/25
ゆっくりさん
13
3巻。息子の円造がこれからどう成長していくんでしょうか。今回、料理は少な目の人情話です。若い二人の祝い善、鰹のたたきに手ごね鮨、神力が宿っていそうな筍尽くし、特に筍の天ぷらは歯応えが病みつきになりそうです。さらっと登場した梅と大葉とちりめんご飯は間違いないですよね。釜揚げうどんの後の素麺も斬新ですが、かどやの煮物は夫婦同様に優しく穏やかな味なんだろうなと思いました。常連さんに仲間入りでしょうか。からくり人情のお通も加わりどんな話が続いて行くんでしょうか。2020/11/25
夏月
3
サラッと読了。円ちゃんかわいい2020/04/20