出版社内容情報
江戸八丁堀の与力の妻・品の願いは、夫婦水入らずの「江ノ島詣で」だけなのに……新鋭が描く、人生の思秋期を迎えた夫婦像。
内容説明
身勝手な夫に愛想をつかし、江戸の奥様、ひとり旅!?―江戸八丁堀の与力・間壁三左衛門の妻、品は憂鬱だった。嫁いで三十年、五十歳を迎え、子育ても一段落。夫婦水入らずの旅を、と願うが、仕事人間の夫は取り合わない。そのくせ、体はしきりに求めてくる。女友達の勧めで、品は夫に“妾”をあてがい、夜の相手から逃れようと企てるが、夫婦関係はこじれる一方。我慢の限界を超えた品は、江戸から江の島へ「家出」を決行する―。注目新人の書き下ろしユーモア人情時代小説!
著者等紹介
中得一美[ナカエヒトミ]
1991年、日本映画学校脚本ゼミを卒業後、広告映像制作会社、図書館司書、介護職など数々の仕事を手がける。2006年映画『風の外側』(奥田瑛二監督)に参加。2013年『嫁の心得』で第1回日本エンタメ小説大賞を受賞し、小説家デビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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むつこ
28
なんでこの作家さんの題名は「嫁」とするんだろ?シリーズものじゃなかった。閉経近い武家の嫁・品は毎晩のように求めてくる夫に自宅内に妾を下女として入れるが耐えきらず家出をするお話。夫婦はわかっているようでわからない関係、乳母の「婆の力」に希望がみえる爽やかな小説だった。2020/10/09
水無月
18
本屋さんで平積みされててタイトルが気になり衝動買い。第一回日本エンタメ小説大賞受賞作品。('_'?)何かハズレたかな…と思いながら読み進めるうちクスッとなる場面あり最後は上手く締め括られ読後感スッキリ。巻末の参考文献の数に驚き👀‼️新人作家さんのようなので密かに期待するかな2020/04/25
ダイアナ
6
五十歳を迎えても尚夜の営みを求められる日々にうんざりしていた与力の妻、品は友人の勧めで妾をあてがうことで解決しようとしたが、それが原因で夫婦間は拗れることに。我慢の限界に達した品はかねてより思っていた江ノ島詣を決意する。生きてるリアルな「江戸妻」(こんな言葉ないけど)を感じられ面白かった。2021/06/13
縁側
6
八丁堀から江ノ島までの(当時は徒歩での)嫁の家出の行程、資料を駆使して書かれたのだろうなと見え見えなのもご愛敬。孫もいる年齢というのに毎晩の夫からの求めにぶち切れ、夫を困らせるためにあえて器量も心ばえも劣る娘を妾としてあてがった妻。夫への復讐のはずが、それを見破った夫は逆に妻に逆襲を講じる。夫婦の争いの結末は?罪人を扱う武士がほかの武士から低く見られていたとか、当時の時代考証が面白かった。2020/04/13
だいゆー
3
(^^2020/02/24
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- 和書
- 金沢あかり坂 文春文庫