出版社内容情報
〈本能寺の変〉の原因は、信長をめぐる権力争いで、明智光秀が企んだある秘策にあった――驚嘆の大型新人が放つ歴史長編!
内容説明
主君・織田信長が征夷大将軍の職を戴くための朝廷工作を秘密裡に始めた明智光秀。そこには、平和のうちに天下統一を果たすという大いなる野望があった。しかし、毛利攻めで戦の場にあった羽柴秀吉がその企みを知った瞬間から、計画は狂いを生じ始める―本能寺の変に至る光秀の戦いとその心理的葛藤を、圧倒的密度で描く、驚嘆のデビュー長編。
著者等紹介
太田満明[オオタミツアキ]
1960年、兵庫県三原郡(現・南あわじ市)生まれ。大阪教育大学卒業。兵庫教育大学大学院修士課程修了。『光秀夢幻』が小説家としてのデビュー作となる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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みこ
19
巷間溢れる本能寺の編の謎を余すことなく集約している。四国説も秀吉黒幕説も朝廷黒幕説も全て織り込みながら全く新しい本能寺の変を描いている。光秀が崇め、征夷大将軍にしたいと思っていた信長を弑逆するまで追いつめられる過程がまるで「金閣寺」を読んでいるようだった。難点を言えば史実に拘りたいのか所々作者が出てきて資料の解説をしたりする点である。小説の世界にどっぷり浸りたい気持ちが削がれてしまった。「余談」も含めて小説として楽しめる司馬遼太郎はやはり偉大だな。2020/03/05
Kei.ma
9
信長、言うまでもなく天下無双の英雄である。この男を公方への推認を企図する光秀、自らの立場を強固にするため西国の雄毛利を征しようとする秀吉。物語はこの二人の武将が暗中模索の駆け引きを見せていた。光秀夢幻との題名は、自ら天下を奪うというものではない。主君を征夷大将軍にしたら、あるいは出来なかったら、との葛藤を言い表したものである。暗躍する安国寺恵瓊が読者の思考を混濁させる。官僚達の次官争い、上場企業のトップ争いさえ想起された。奥行きが深く面白い。無い物ねだりしていた物がここにあった。2020/01/10
tako_machida
1
信長を将軍にできなかったことが、本能寺の変に繋がっていくという興味深い説でした。本能寺の変自体は呆気なかったし、光秀がやったことが深く記されている訳ではないので、物足りなさも少し感じました。2021/05/15
読書家
0
光秀の信長征夷大将軍への工作と秀吉の三成謀叛を願いつつ一大工作を仕掛ける秀吉陰謀説を描写した話。2022/12/26