出版社内容情報
ひとはひとりでは生きてゆけませぬ――愛する者の望みを叶えるため剣を抜いた男の運命は!? 没後一年、葉室麟の傑作時代長編!
内容説明
媛野藩の藩士、栗屋清吾は女中のみつと深い仲になるが、妻として娶ることは認められていない。そんな時、道場仲間の山倉伊八郎から自分の用心棒になるよう頼まれる。伊八郎が藩の筆頭家老になるには清吾の剣の技が必要だという。子どもを持ちたいというみつの願いに応えるため引き受けたが、伊八郎と対立する派閥からの刺客が次々と襲い掛かり…。
著者等紹介
葉室麟[ハムロリン]
1951年北九州市小倉生まれ。西南学院大学卒業後、地方紙記者などを経て、2005年『乾山晩愁』で歴史文学賞を受賞し、作家デビュー。07年『銀漢の賦』で松本清張賞を受賞。12年『蜩ノ記』で第146回直木賞を受賞。16年『鬼神の如く 黒田叛臣伝』で第20回司馬遼太郎賞を受賞。17年逝去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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優希
60
人と人のつながりを考えさせられました。1人では生きていけないから。清吾とみつの切ない関係、伊八郎との凸凹関係がそれを示しているように思います。心を許せる人がいることが喜びなんですよね。2020/12/01
優希
38
絆とは何かを考えさえられました。切ないですね。2023/02/17
てつのすけ
23
真の友情とは、人を想う気持ちとは、これらを問うている作品だと思う。 人は誰しも、損得を考えて判断し行動することが多いと思う。しかし、そのようなことを超えて判断し行動することが、人を想う気持ちなのではなかろうか。 自分の胸にてを当てて、恥ずかしくない生き方をしているか振り返ってみようと感じた作品であった。2019/06/08
高橋 (犬塚)裕道
17
星4。愛と友情の話だと思う。小心で不器用な剣の使い手の気持ちがあり得ない程清々しい。全体に凛とした空気が流れているが、これを執筆されていた頃には作者は病に冒され体力が落ちていたのではないか?所々に粗さが見える。だがそれでも書き上げた情念も見えるような気もする。2018/12/13
masayuki
7
栗屋清吾と山倉伊八郎は同じ道場に通う友達同士。武家の次男、三男という恵まれない境遇であるところも同じ。ところが、伊八郎に家老の跡継ぎの話が舞い込んでから、物語は起伏に富んで進行する。清吾の秘技「磯之波」や女中のみつとの恋の行方。伊八郎が家老になるまでの様々な試練など、読みどころ満載の小説。あまり深刻にならずに楽しく読める。と軽く流してはいけないのだろう。「ひとはひとりでは生きてはいけませぬ」と考えさせられる言葉が心に沁みる。2019/01/18