内容説明
国鉄が健在だった1981年、北海道から東京までひとりで旅をする不思議な男の子がいた。室蘭本線、中央線、東海道線、相模線…男の子の存在は出会った人々の記憶に深く刻まれる。彼はなぜひとりで旅しているのだろう。成長した「わたし」は、思いがけない形で自らの過去を知ることになるが―切なくて、あたたかい、人と鉄道の「絆」の物語。
著者等紹介
佐川光晴[サガワミツハル]
1965年東京都生まれ。茅ヶ崎育ち。北海道大学法学部卒業。2000年「生活の設計」で第32回新潮新人賞、2002年『縮んだ愛』で第24回野間文芸新人賞、2011年『おれのおばさん』で第26回坪田譲治文学賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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mae.dat
255
9話+プロローグ。ちょっと変わった出だしでした。また、時間軸を若干ではありすが前後させながら進めたりして、ファンタジックなお話なのかなぁと思いましたが、そんな事は無くてね。『鉄道の友』と言う季刊誌の編集に巻き込まれながら、最後には自身のルーツに迫る事になるのね。うちの坊主が、“鉄童”くんと同じ属性でね。でも何に惹かれているのかは教えてくれないのよ。本書を通じてほんの一部は重なる部分もあり、想像するにこういう事かと思ったり、そんな事もあったと懐かしく思う事もありました( ¨̮ )。2024/12/25
あおでん@やさどく管理人
40
それなりに鉄道や地理の知識があった方がいいかもしれないが、それさえクリアできればとても面白い。最後は電車の先頭で読んでいたが、隣ではちょうど5歳くらいの「鉄童くん」が車内放送の真似をして楽しんでおり(もちろん一人ではなかったが)、少し不思議な縁を感じた。これからも鉄道は、大らかさを持った乗り物として走り続けてほしい。2018/07/16
saga
30
プロローグから第二話まで、鉄童と呼ばれていた時のゆかりの人を訪ねる話が続き、このまま記憶を取り戻す旅が続くのかと思っていたら、良い意味で裏切られた。まるで転轍機で別の路線へ進むように妻・友紀子との日常や、雑誌「鉄道の友」編集者との交流が語られる。特に「鉄道の友」に寄せられた6巻のカセットテープを聞く主人公の描写によって、彼が何故記憶を失い、孤児として児童施設にいたのかを知らされる。鉄道に寄り添うような情景に、鉄道ファンとして満足の一冊。2017/07/19
かんけー
24
読了後、只郷愁の淵に浸っている自分に気付き?読んでる途中から涙ぐんだり。この作品の主人公「わたし」の数奇な運命と誌面から溢れる鉄道愛に、そしておおらかだった国鉄時代と昭和のノスタルジーをも覚醒させて?電車の車輌型式等にニコニコ(^.^)211系やら115系?更に103系、201系等迄登場させて、鉄オタにとっては嬉しい限りで(^.^)おっとw蘊蓄は省きます(^_^;)5歳の児童?が一人で列車旅?この疑問はページを捲る度に氷解して♪人との出逢いが情けを生み、そこから生涯の伴侶を得る繋がりに、新鮮な驚きと→2017/06/04
ごへいもち
22
(読友さんご紹介本)やはり日本の小説は読みやすい。ちょっと納得できない部分もあったけど楽しんだ2017/06/17