内容説明
江戸は浅草・駒形にある“どぜう屋”の主人元七(三代目越後屋助七)は剣術と遊びにかまけて仕事はほったらかしの日々。しかし、黒船来航、大地震、ご一新へと、店も人も激動の世になると、江戸っ子の意地と持ち前の明るさで店を盛り立てようと奮起する―実在の老輔“駒形どぜう”を舞台にした、笑いと涙のグルメ時代小説。読めば必ず食べたくなる!
著者等紹介
河治和香[カワジワカ]
東京都葛飾区柴又生まれ。日本大学芸術学部卒業。日本映画監督協会に務めるかたわら、江戸風俗研究家の三谷一馬氏に師事して、江戸風俗を学ぶ。2003年『秋の金魚』で第2回小学館文庫小説賞を受賞しデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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真理そら
23
「駒形どぜう」の店そのものの歴史が主役という感じで、登場人物の様々な人が中心になったり脇になったりしている分、特定の人物に感情移入しにくい書き方だ。が、それが逆にリアルな店のざわめきを伝えている気がした。とはいえ、ほぼ三代目助七(元七)が中心にはなっている。元七の遊び人なのかまじめなのか分かりにくいのに魅力的な人柄が伝わる描写はこの作者独特のものかもしれない。ドジョウというものを食べたことがないので味についてはピンとこないのが悔しかったかも。2018/07/24
ジュール リブレ
23
駒形どぜう。実は越後屋だったとか、どじゃうの表記を、意図的に三文字のどぜう、に変えたとか。江戸時代から今に続く老舗の汗かきながらの日々が楽しかった。2017/05/22
トラジ
7
駒形どぜう屋「越後屋」の物語。三代目助七を中心にした、どじょう屋繁盛記がメインストーリー。明治維新の動乱と物悲しさが庶民目線で描かれ、江戸の文化が臨場感豊かに表現されている。あとがきを読むと、「越後屋」の歴史がよく解る。綿密な取材が生かされた意欲作。2017/04/10
ねこ
4
駒形どぜう三代目店主を中心とした話。幕末から明治のはじめの頃、火事や天災や病気や戦で家は失うし人はどんどん死ぬけれど、しゃあねぇと前を向いていく江戸っ子たちが描かれています。どぜう、食べてみたくなりました。2018/03/07
Shinobu Asakura Yamamoto
2
今も浅草、駒形(江戸っ子はこまかた、と、呼ぶ)に残るどぜう屋の三代目を中心とした、幕末から明治の時代変遷も江戸市民の目線で描いたチャキチャキでビビッドなお話。河治さんの本は本当にどれも江戸っ子のど真ん中に連れて行ってくれるから大好きだー!どぢやう、とかくのは死文字と言ってげんが悪いためどぜうとなった、とか、安政の大地震から度々の火事に対応する町民たち、薩摩などの田舎侍に押しかけられ彰義隊や新撰組が敗れトウケイになってしまった江戸、狆の逸話など歴史を知るにも秀逸な一作。2024/12/20
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