内容説明
物の値段を見張り、店に指導する役回りの同心を務める澤本神人。家では妹の忘れ形見である多代を男手ひとつで育ててきた。今日も子分の庄太とともに江戸の町を見まわるが、そこでは値段の裏にあるさまざまな人情や思惑がからみあい、神人を悩ませる謎と悪事が待ちうけていた。やがて未解決の贋金騒動の真相に迫り―新機軸の時代ミステリー誕生!
著者等紹介
梶よう子[カジヨウコ]
東京都生まれ。フリーランスライターのかたわら小説執筆を開始し、2005年「い草の花」で九州さが大衆文学賞大賞を受賞。08年『一朝の夢』で松本清張賞を受賞し、同作で単行本デビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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いたろう
44
顔が濃く目立つため、変装して犯罪を取り締まる「隠密廻り」には不適と、市中の商品の値段を監察する「諸色調掛」に移された北町奉行同心の澤本神人。(実は諸色調掛に回されたのには他に深い理由があったのだが。)亡き妹の子を引き取って、独身ながら父親の役割を担う神人が、食いしん坊の庄太を配下に、犯罪捜査から離れたはずが、何やかやと謎解きに従事する様子が痛快。「ヨイ豊」のようなずっしりとした読み応えはないものの、これはこれでなかなか楽しい読み物に。神人とお勢の関係も気になるし、これは是非、続編が読みたい。2016/07/22
美月0217
29
なるようにしかならない・・川の流れを止める~の部分・・納得!そしてなるようにしかならない・・とあきらめてしまうのでなくて・・っていう澤木神人の考えがいいなと思ってメモメモ・・(笑)妹が生んだ子を独身のまま育てていったり、庄太とのかけあいもあり・・全く関係ないけど「あっ・・澤木神人好みのタイプ」です(笑)お勢さんと上手くいくことを願って・・あ~~続きがあるなら読みたい(笑)でもここで終わりだからいいのか・・・(あとは想像で・・)2016/02/06
あすか
20
続編のために再読。久々に読んだがやはり面白い。2024/01/14
タツ フカガワ
20
澤本神人は北町奉行所の諸色調掛同心。江戸市中の商いが適正な価格で営まれているか調べるのがお役目だが、殺人事件も解決してしまう。やがて亡き父親が手掛けて未解決のままだった事件へたどり着く。一捻りある謎解きも楽しみましたが、貧しくとも善良な人たちの営みが読んでいて心地良い。とくに「雪花菜」と「宝の山」にほろりとしました。2018/09/14
ぶんぶん
19
【図書館】ちょっと変わった捕物帳、というのも普段よく知っている「三廻り」の同心ではなく、諸色調掛同心という所謂、物価や紛い物を取り調べる職務の同心を描く。 元は臨時廻りをやっていたが、顔が濃いという事でこの職務に回された、澤本神人屈託も無い性格で、腹っ減らしの小者の庄太と江戸の町を歩き回る。 人々の悲喜交々を上手に裁きながら「なる様にしかならねえ」を口癖に浮世を渡って行く。 何とも心休まる同心である。 さて、続刊に移ろうか。 2025/08/21