出版社内容情報
人生にリタイアなんてない。企業に生き数十年、上を目指す者、出向になる者、第二の人生を歩む者ーー50代後半の男たちの群像。
内容説明
自社の合併に関わる派閥抗争に巻き込まれた常務。賛否うずまく取締役会で、彼はある決断を…(「耳したがう」)。銀行広報部部長が、裏金疑惑が発覚した頭取と記者会見に臨んだ。威圧的な頭取に、広報部長は突然…(「おうちに帰ろう」)。五十代後半、企業人生をまっとうする者、再スタートを考える者。男たちを取り巻く組織、家族とは。文庫オリジナル全八編。
著者等紹介
江上剛[エガミゴウ]
1954年兵庫県生まれ。早稲田大学政治経済学部卒。旧第一勧銀時代、総会屋事件収拾に尽力。2002年に『非情銀行』でデビュー。03年、みずほ銀行退職後執筆に専念。評論家、コメンテーターとしても活躍中(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Tsuyoshi
73
退職前や退職後など中高年の退職にまつわる短編8編。退職理由や退職後の環境の変化、人生観や仕事、家庭に対する考え方も様々でまさに「人それぞれにドラマあり」といった感じで面白かった。特に保身に走る頭取にぶちギレて退職を決意した「おうちへ帰ろう」大量のリストラを担当後に後悔の念から退職した「ゆるキャラ」がよかった。2018/03/22
ぶんこ
57
退職勧奨とあったので、自主退社を迫られる辛い読書かと思ったら、退職にまつわる色々な物語。ほほえましい物、少し辛い物、いい夫婦だなぁという物等々で題名に違和感を覚えました。我が家のような退職時に妻が長期入院で、雑用がたくさんあったのは、夫にとってはよかったのかなと、心苦しく感じていた自分の入院を、慰められたような気がしました。2016/03/12
達ちゃん
49
江上さん初読です。定年間際のおじさんたちを主人公にしたちょっぴりはかない短編集。どれもいい話でした。表紙でマイクを振りかざしている部長に激しくナイス!2019/02/13
Yunemo
39
男って最後に報われないのかな。結局は組織の中で生きざるを得ない、いつのまにか家庭を妻に全面的に任せきり。この生活を何十年と続けた最後に、自分の居場所がないことに気づく。考えれば寂しい話。でもこれって男の言い分?これから女性参画の時代、組織と個人との折り合いをどうつけていけばいいんでしょう。そのための長い試行期間が今まであった。こんな考え方に落ち着きます。それにしても「勧」と「歓」、遠くから見ると同じに見えるのに、中身はこんなに違うものなの。5人の銀行員3人のメーカー勤務者、退職歓奨、悲喜こもごも、幸あれ。2015/11/01
紫陽花
30
サラリーマン人生の最終コーナーの最終盤を迎えた人たちを描いた短編集。私も近い将来、同じような立場になるかもしれないということもあり、物語に入り込んでしまいました。派閥争いに巻き込まれる話。ワンマン社長の側近としてスキャンダル対応をする話、熟年離婚の話、再就職の話など、どれも参考になりました。「お父さんの人生は幸せだったよね」と言ってもらいたいし、「幸せだったよ。ありがとう」と言いたいでしょう。確かにその通り。これからの日々、いちにちいちにち大切に過ごしていきたいと改めて思いました。2022/10/31
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