内容説明
明治の初め、質屋を営んでいた角田小太郎は、友人の巡査の死や新興商人・安田善次郎との出会いを機に、庶民のための「人命保険」結社を立ち上げた。しかし、「宵越しの金は持たない」江戸っ子たちに生命保険の精神を浸透させるには、多くの災厄と困難に立ち向かわねばならなかった―福沢諭吉が日本に初めて紹介した生命保険の黎明期を描く感動の歴史ドラマ。
著者等紹介
渡辺房男[ワタナベフサオ]
1944年、山梨県甲府市生まれ。東京大学文学部仏文科卒。NHK在職中の1999年、「桜田門外十万坪」で第23回歴史文学賞、「指」で第18回世田谷文学賞を受賞。2001年には「ゲルマン紙幣一億円」で第15回中村星湖文学賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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てつ
35
一気に読めたが、感情移入できず、残念。2017/12/10
miki
3
生命保険の創世記を小説として描く。ただ、所謂生命保険が主役ではなく、その前の互助会的な組織「人命保険」が主役。人の良い主人公が、制度に躓きながらも使命感でやり遂げていく。小説だけど、共済五百社や安田善次郎、明治生命や阿部泰蔵などの実在した名前も出てくるので、ノンフィクションのような印象もあり。生命保険の立ち上げ期の背景がわかりためになったと同時に主人公など魅力ある登場人物が多く小説としても楽しめた。2014/03/01
境川
0
明治初期の、生命保険黎明期の庶民の「助け合い」精神から産声を上げた『友愛一銭社』の苦闘を描く。初々しさと、起業の苦労が生々しく描かれ、現代のベンチャー起業に通じるのかな。それにしても、小太郎の妻のおさきさん、いいねぇ~。古き良き江戸っ子気質の良い面を体現してる。2014/08/06
えみりー
0
図書館。読む前は、大手生保の出発点が描かれた作品かな?と思っていましたが、そうではなく、庶民の為の人命保険を創ろうと立ち上がった元質屋の店主の話でした。その中でライバル会社として明治生命が登場。今では当たり前になっている年齢による保険料の違い、医師の診査などが人命保険には最初はなく、だからこそ保険金詐欺が起きて経営を圧迫する一面も。 前半は少し読むのが辛かったですが、後半は一気に読了でした。業界人としては面白かったです。2021/02/18