内容説明
通信社社会部の記者・鶴田吉郎は、コンビニ強盗の犯人逮捕を偶然スクープ。現場で遭遇した男から、暴力団事務所の襲撃事件について訊ねられた吉郎は、調査の過程で、14年前に起きた女児誘拐殺人事件の“実録映像”がネット配信されていたことを知る。犯人は精神鑑定で無罪とされていた…。静かな狂気に呑み込まれていく事件記者の彷徨を描いた傑作、待望の文庫化。
著者等紹介
誉田哲也[ホンダテツヤ]
1969年東京都生まれ。学習院大学卒業。2002年『妖の華』で第2回ムー伝奇ノベル大賞優秀賞を受賞し、デビュー。03年に『アクセス』で第4回ホラーサスペンス大賞特別賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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射手座の天使あきちゃん
211
この不安で不愉快な物語に、主の慈しみを求めて一息に読みましたが・・・ はたして彼女もしくは彼は永遠の休息を得られたのでしょうか!? 怒りや憎しみの感情が人より激しいとは思わないけど、この手の犯罪者は許せないです、精神状況がどうあれ罪は償わせるべきだと思います!!(怒) 2012/12/01
takaC
201
読んで良かったという気持ち半分、読まなきゃ良かったという気持ち半分。いや、イーブンじゃなくて四六か三七くらいで後悔寄りかな。2015/07/21
大地
158
巡りあわせから14年前に起こった女児誘拐殺人事件を調べ始める記者の鶴田。調査を進めていく中で、事件関係者の桐江やその父と関わり真相を知っていく中で記者としての葛藤、ジレンマがうまく描かれている。重い内容ですが、先へ先へと読ませるのは、さすが誉田作品という感じでしょうか。しかし、切ない終わりかたですね。誉田作品には珍しい男性が主人公の話です。娘がいる身としては、考えさせられる内容でした。2014/12/09
ゆこ
156
ただ、娘を守りたい。そんな気持ちが空回りした結果がこれだ。姫川シリーズ初作になる予定だったと聞いていたので、想定はしていたがグロい描写多数。でも、これを姫川シリーズにしなかったのは正解だと個人的には思うそしてまた、本当に救いのないラスト。痛い程切ない。娘のため、父のそのたった一つの判断ミスがあの惨劇を生んでしまった。どんなに幼くても、子どもの間違いや失敗(この場合はあまりに大きすぎる問題だが)、過ちは正してあげるのが本当の愛のはず。どんなに辛くても。でも、芳賀の気持ちも分かる。親だものね……守たいよね……2014/03/04
麦ちゃんの下僕
153
オーディオブック。通信社の記者である鶴田吉郎と、鶴田がよく行くコンビニの店員・芳賀桐江…たまたまコンビニ強盗の現場に居合わせたことで親しくなった2人の視点で綴られる物語。文章自体は全体的に軽めで読みやすい(聴きやすい)んですが…テーマがあの宮崎勤事件を想起させる幼女誘拐殺人事件ですので、かなりおぞましい描写もあります…特に女性の方はご注意を。大まかな“筋”はある程度推測できるので中盤はもどかしかったですが…終盤の予想を超える展開には愕然!そして鶴田を“刑事”ではなく“記者”に設定した意味にも納得です。2022/11/01