内容説明
締切りを数時間後に控えた私の周囲に、何者かの気配が…(『声にしてごらん』)。遠野で保護される以前の一切の記憶を失くした私は、二十年ぶりにその地を再訪する(『隠れ里』)。幽霊画の傑作に出会った。描かれた女の長い髪が、不意にふわふわと蠢き…(『二つ魂』)。高橋ホラーワールドの真髄がここにある。文庫オリジナルの1編を加えた哀惜と戦慄の12編。
著者等紹介
高橋克彦[タカハシカツヒコ]
1947年岩手県盛岡市生まれ。83年『写楽殺人事件』で第29回江戸川乱歩賞を受賞。その後『総門谷』で第7回吉川英治文学新人賞、『北斎殺人事件』で第40回日本推理作家協会賞、『緋い記憶』で第106回直木賞、『火怨』で第34回吉川英治文学賞を受賞。ミステリー、ホラー、SF、伝奇、歴史小説、浮世絵研究など幅広いジャンルで多くの著作を世に送り出し、現代日本エンターテインメント小説界を支える第一人者のひとりである(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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gonta19
97
2011/6/10 メトロ書店御影クラッセ店にて購入。 2025/7/19〜7/22 14年ものの積読本。 高橋さんらしいホラー短編集。「怖くない」がベストか。2025/07/22
アッシュ姉
66
高橋克彦さんを彷彿させる作家の目線で語られるホラー短編集。ご自身のお考えや体験がどれほど反映されているのか気になるところ。頭の中を覗き見したような興味深さを味わえた。著者初のホラー短編集『悪魔のトリル』に比べるとインパクトは薄れるが、じわじわくる怖さと面白さがあり、いつまでも読んでて飽きない不思議な読み心地だった。ゆらゆら漂っていたい妖しい魅力がある。歳を重ねると怖いものがなくなりストーリーが浮かばない、歴史小説の方が面白いという台詞があり、高橋ホラーファンとしては寂しいかぎり。新作ホラー希望熱望!2018/03/20
のぼる
22
短編集。一作一作が短く頼りないくらいすぐ読める。しかし、さすが名手の高橋さん。震えるほど怖いわけではないが、最後に背筋がゾワゾワっとする作品ばかり。 2017/11/09
5〇5
9
たまゆらり たゆたふままに たのしめり2021/04/18
makersat
8
通勤通学で一日一篇を読了できる程度の頁数の短篇が十二篇収められた一冊。これぞ日本のホラーと胸を張って言える小粒な作品が揃えられている。いずれの作品も、日常のふとしたシーンから恐怖へと繋げていくプロセスが巧みである。「ああ、こういうことって普段あるなぁ」から恐怖(もしくは、不思議)へとつなげていくため、心底からぞくりと感じて寒気が止まらなくなるのだ。ただし、中には「これはホラー?」と疑問を覚えるものもなくはないので、そこはご愛嬌と諦めるべきだろう。お気に入りはホラーというよりもファンタジー寄りの「隠れ里」。2015/04/10