出版社内容情報
がんばれよ。もっと、もっと強くなれ――
盲学校に通う小学4年生の及川正彦は、新任の先生から将棋を教わり、その面白さにすっかりのめりこみます。目の見えない人でも楽しめる将棋盤と駒を使って同級生と対戦、寄宿舎の自室では詰将棋に熱中する日々。そんな正彦の変化を、家族はあたたかく見守りますが――。
盲学校を舞台に、将棋を指す喜びを知り、それぞれに成長を遂げてゆく小学生たちとその家族、教員たちの群像劇。あたたかい読み心地の一冊です。
将棋ペンクラブ大賞文芸部門優秀賞を受賞、入試にも頻出している『駒音高く』の姉妹編。
装画/高杉千明
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
昼寝ねこ
133
同じ作者の『駒音高く』が良かったので続けて読んだが、この作品はある程度将棋が解ることを前提に書かれているようで私には無理ゲーだった。視覚障害者の将棋小説はとても興味深いのだが肝心の将棋シーンが理解できない。将棋に詳しければ面白いのかもしれない。また小学生が主人公なので内容がYAのようで少々物足りない。主人公の正彦くんも欠点がなくてイイ子すぎる。視覚障害者の将棋指導に挑む小倉先生、クセ者の加藤くん、雰囲気のある雲井さん、正彦くんのお姉さんなど、魅力的な登場人物が多いので、そこを深掘して欲しかった。2025/10/28
ゆみねこ
75
老舗蕎麦店の息子・及川正彦は親元を離れ盲学校で寄宿生活を送る好奇心旺盛な小学4年生。盲学校に赴任してきた小倉祐也先生により将棋の楽しさを知り、どんどんのめり込んでゆく。盲学校での生活、離れて暮らす家族への思い、正彦が視力を失った理由。将棋のことは良く分からなくてもとても良い物語で一気に読了。皆さんの感想で小倉先生が「駒音高く」のあの少年だったことを思い出した!2025/07/27
Ikutan
73
未熟児網膜症のため、生まれつき目が不自由な正彦は、寄宿舎で暮らしながら盲学校に通う好奇心旺盛な小学4年生。新任の小倉先生が特別活動の授業やクラブ活動で将棋を教えてくれることになったことで、将棋に触れ、その世界にのめり込んでいく。小倉先生のオリジナルな指導方法に応えてどんどん実力をつけていく正彦。ただただ将棋の面白さに惹かれ、一生懸命取り組む正彦の姿は、清々しく、そんな彼を見守る家族の愛情には胸を打たれました。中高校生から大人までおすすめできる良作ですね。2025/04/25
シャコタンブルー
72
視覚障がい者で小学4年生の正彦が将棋と出会い、その面白さに目覚めて心身共に成長していく物語。ノンフィクションかと思えるほどに将棋の駒、戦法等が丹念に描かれて本格的だった。目が見えないハンデをカバーした将棋盤と駒が実際に大会で使用されていることを知り嬉しくなった。正彦に対する両親や姉の複雑で機敏な愛情の表現や変化が、将棋の上達と共に深まっていくように感じた。将棋に対する熱意や頑張りが昇級につながり、生きがいにもなっていく。盲学校への応援と将棋への愛情がぎっしり詰まっていた。2025/02/13
pohcho
69
島根の盲学校を舞台に、将棋を指す喜びを知った少年の成長と、彼を見守る家族や教員たちを描いた感動作。お姉さんが泣いた場面が印象的。生まれつき目の見えない正彦をあたたかく見守りながらも、心の底ではずっと心配して守ろうとしてきたお姉さん。そんな家族の思いをよそに、すくすくと健やかに成長する正彦の強さにも心打たれた。「駒音高く」の姉妹編。大辻弓彦くんが出てきたのも嬉しかった。2025/03/24




