出版社内容情報
「ほんとうの幸い」って、何だろう?
瑞々しく、愛おしく、胸に響く傑作青春小説!
県立野亜高校の図書室で活動する「イーハトー部」は、宮沢賢治を研究する弱小同好会だ。部長だった風見先輩は、なぜ突然学校から消えてしまったのか。高校生たちは、賢治が残した言葉や詩、そして未完の傑作『銀河鉄道の夜』をひもときながら、先輩の謎を追い、やがてそれぞれの「ほんとう」と直面する。今を生きる高校生たちの青春と、宮沢賢治の言葉が深く共鳴する感動長編。
内容説明
県立野亜高校の図書室で活動する「イーハトー部」は、宮沢賢治を研究する弱小同好会だ。部長だった風見先輩は、なぜ突然学校から消えてしまったのか。高校生たちは、賢治が残した言葉や詩、そして未完の傑作『銀河鉄道の夜』をひもときながら、先輩の謎を追っていき―。物語を愛するすべての人へ贈る、青春小説の金字塔!
著者等紹介
名取佐和子[ナトリサワコ]
兵庫県生まれ。明治大学卒業。ゲーム会社に勤務した後、独立。2010年『交番の夜』で作家デビュー。著書に第5回エキナカ書店大賞を受賞した『ペンギン鉄道なくしもの係』ほか多数。『図書室のはこぶね』は各地の司書が選ぶ「イチオシ本」に選ばれるなど、幅広い世代に愛読されている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
シナモン
111
とても良かった!「ほんとうの幸いは、遠い」のメッセージを残して音信不通になった風見さんの真相が気になって先を急ぎたくなるけど、宮沢賢治の作品やイーハトー部の部員たちの繊細な心の描写とかしっかり味わいたくて丁寧にゆっくりと大切に読んだ。野亜高校イーハトー部のきらめく青春の1ページを覗かせてもらったような、とても素敵な小説でした。みんな最高だよ🥹2024/08/19
みかん🍊
83
図書室の一角でと活動する宮沢賢治を敬愛するイーハトー部だったが尊敬している部長が「ほんとうの幸いは、遠い」というメッセージを残し不登校になってしまう、その意味を知る為に賢治の作品を読み文化祭、体育祭、修学旅行と高校2年の行事をこなしていくチカたち、3年の短い高校生活を楽しむ者、悩む者、関わらずに過ごす者がいるが仲間や同志友人と過ごす高校生活はやっぱり特別な青春、男の子のエピソードは違う小説でも読んだが全くの善意が良くない結果を生むこともある何が正しかったのか真実は分からない、最後の卒業式には涙した。2024/09/03
ゆみねこ
78
県立野亜高校の図書室で活動する「イーハトー部」。宮沢賢治を研究する弱小同好会。部を立ち上げた風見先輩が「ほんとうの幸い」って何だろう?と言う言葉を残し、突然学校から消えた。先輩はなぜ消えたのか?チカ・キョンへ・マスヤス、3人の部員たちと見守る司書の伊吹さん、顧問の郡司先生そして校長。それぞれが抱える悩みや問題、「ほんとう」と直面して成長する高校生たち。清々しい名作、とても良かった。オススメ!2024/09/14
はる
67
心優しい人たちの青春物語。いいな、若いって。羨ましいよ。野亜高校図書室で宮沢賢治作品中心に活動するイーハトー部。その部長が何故か突然学校に来なくなった……。謎解きの要素を含みつつ、登場人物それぞれの悩みや苦しみを繊細な筆致で綴っていく。優しい世界観が魅力的だ。よろしければぜひ。「図書室のはこぶね」と同じ舞台なので司書の伊吹さん再び登場。2024/09/10
天の川
64
野亜高校の同好会イーハトー部。その名の通り宮沢賢治の著作を研究する会だ。『ほんとうの幸いは、遠い』のメッセージを最後に不登校になった賢治愛溢れる部長風見。不登校の理由は何なのか。3人の部員もそれぞれに誰にも言えない悩みを抱えていて…。”誰だって、ほんたうにいいことをしたら、いちばん幸なんだねえ”というカムパネルラの言葉のようにはいかず、自分にとっての善きことが他人にとっての善きこととは限らないと気づき、悔恨に苦しむ人に対し、「永久の未完成これ完成である」の境地を説くビブリオトークはお見事だった。→2024/10/15