出版社内容情報
「ほんとうの幸い」って、何だろう?
瑞々しく、愛おしく、胸に響く傑作青春小説!
県立野亜高校の図書室で活動する「イーハトー部」は、宮沢賢治を研究する弱小同好会だ。部長だった風見先輩は、なぜ突然学校から消えてしまったのか。高校生たちは、賢治が残した言葉や詩、そして未完の傑作『銀河鉄道の夜』をひもときながら、先輩の謎を追い、やがてそれぞれの「ほんとう」と直面する。今を生きる高校生たちの青春と、宮沢賢治の言葉が深く共鳴する感動長編。
内容説明
県立野亜高校の図書室で活動する「イーハトー部」は、宮沢賢治を研究する弱小同好会だ。部長だった風見先輩は、なぜ突然学校から消えてしまったのか。高校生たちは、賢治が残した言葉や詩、そして未完の傑作『銀河鉄道の夜』をひもときながら、先輩の謎を追っていき―。物語を愛するすべての人へ贈る、青春小説の金字塔!
著者等紹介
名取佐和子[ナトリサワコ]
兵庫県生まれ。明治大学卒業。ゲーム会社に勤務した後、独立。2010年『交番の夜』で作家デビュー。著書に第5回エキナカ書店大賞を受賞した『ペンギン鉄道なくしもの係』ほか多数。『図書室のはこぶね』は各地の司書が選ぶ「イチオシ本」に選ばれるなど、幅広い世代に愛読されている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ウッディ
125
高校の図書室を活動拠点とする、宮沢賢治を研究する「イーハトー部」。チカとキョンヘの男子二人きりの弱小同好会に、ヤスマスという女子新入部員が加わる。文化祭でのビブリオトークでのチカの失敗、病気で亡くなった弟へのキョンヘの思いを乗り越え、イーハトー部の創立者で、修学旅行の後、不登校になった風見先輩の謎を知るため、賢治が残した小説や詩の意味をひもとく。「銀河鉄道の夜」の解釈を含め、本そして宮沢賢治に対する愛が溢れた一冊でした。汗臭くないけど、青臭い青春の1ページという感じでした。2024/11/06
Karl Heintz Schneider
116
宮沢賢治を研究するイーハトー部。突然不登校になってしまった先輩の残した謎の言葉「ほんとうの幸い」の意味を探るべく奮闘する物語。最後に不登校になった本当の理由がわかるが想像以上の闇があった。「それでも善きことをしたいと思った気持ちは嘘じゃない。」結果はどうあれその瞬間の気持ちは嘘じゃない。こちらまで救われる思いがした。「学校は船みたいなものだ。できれば乗組員全員を港までたどり着かせてやりたいと思っている。」校長先生の熱いひと言に胸が熱くなると同時に本書の前作とも言うべき「図書室のはこぶね」を思い出した。2024/10/28
シナモン
113
とても良かった!「ほんとうの幸いは、遠い」のメッセージを残して音信不通になった風見さんの真相が気になって先を急ぎたくなるけど、宮沢賢治の作品やイーハトー部の部員たちの繊細な心の描写とかしっかり味わいたくて丁寧にゆっくりと大切に読んだ。野亜高校イーハトー部のきらめく青春の1ページを覗かせてもらったような、とても素敵な小説でした。みんな最高だよ🥹2024/08/19
hiace9000
106
門井さんや伊与原さんも近著で宮沢賢治テーマ作品があるが、今作はよりレアでコアな宮沢作品を高校生の感性で追究した「探究型小説/課題図書」。舞台は前作『図書館のはこぶね』に続き、県立野亜高校の海の見える図書室。修学旅行先で”本当の幸いは、遠い”とメッセージを残し、学校から姿を消した風見先輩の行動とメッセージの意味を知るため、イーハトー部の面々が自己と宮沢作品世界を往還し、探訪と探究に取り組んだ一年間の軌跡を描く。物語と共に宮沢作品の奥深さを再発見。それを解釈・形容する瑞々しい言葉選びと彼らの成長譚に光を見る。2025/08/24
みかん🍊
89
図書室の一角でと活動する宮沢賢治を敬愛するイーハトー部だったが尊敬している部長が「ほんとうの幸いは、遠い」というメッセージを残し不登校になってしまう、その意味を知る為に賢治の作品を読み文化祭、体育祭、修学旅行と高校2年の行事をこなしていくチカたち、3年の短い高校生活を楽しむ者、悩む者、関わらずに過ごす者がいるが仲間や同志友人と過ごす高校生活はやっぱり特別な青春、男の子のエピソードは違う小説でも読んだが全くの善意が良くない結果を生むこともある何が正しかったのか真実は分からない、最後の卒業式には涙した。2024/09/03