出版社内容情報
僕の祖父には、秘密があった。
終戦後と現在、ふたつの時代を「カレー」がつなぐ
絶品“からうま”長編小説
ゴミ屋敷のような家で祖父・義景と暮らすことになった孫息子・桐矢。カレーを囲む時間だけは打ち解ける祖父が、半世紀の間、抱えてきた秘密とは――ラスト、心の底から感動が広がる傑作の誕生です。
【感動の声、続々!】
「ひとの持つどうしようもなさ、そこから生まれる愛おしさ。味わい深く余韻ある作品」――町田そのこさん
「あの時代を生きてきた祖父と、この時代を生きているぼく。どうしようもない噛み合わなさと、どう向き合うか。いま必要なテーマをじっくり煮込んだこれぞテラチ風味の極うま長篇」――瀧井朝世さん
カバー撮影/山本まりこ
内容説明
僕の祖父には、秘密があった。終戦後と現在、ふたつの時代を「カレー」がつなぐ。辛くて旨い、絶品“からうま”長編小説。
著者等紹介
寺地はるな[テラチハルナ]
1977年佐賀県生まれ。2014年『ビオレタ』で第4回ポプラ社小説新人賞を受賞しデビュー。2021年『水を縫う』で第9回河合隼雄物語賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
680
寺地はるなは初読。読む前の予想は、重松清の女性作家版だろうかというもの。読後の結果は、当たらずと言えども遠からずというところか。万事に優柔不断な「ぼく」の一人称で語られる物語。人は誰しも生まれてくる時代も環境も選べない。祖父にとっての幼少期から少年期のそれは、なかなかに過酷なものであっただろう。彼の価値観は昭和のしかも半ば戦前型のそれである。一方、「ぼく」のそれは今時の青年の持つ価値観だろう。「ぼく」は、そんな祖父を鬱陶しくも思い、同時に仕方ないとも思っている。二人の価値観が交わることはとうとうなかった。2024/11/20
starbro
593
寺地 はるな、5作目です。王様のブランチBOOKコーナーで紹介されたので読みました。カレーを巡る祖父と孫の物語、中辛位の佳作でした。 私はB級グルメなので、汎用のレトルトカレー(中辛)は食べません🍛🍛🍛 https://www.j-n.co.jp/books/?goods_code=978-4-408-53806-82022/07/16
さてさて
584
祖父が苦手という二十五歳の桐矢が、『カレーのルーやレトルトカレーのメーカー』である『ピース食品』に一生を捧げた祖父・義景と一つ屋根の下で暮らす姿が描かれたこの作品。そこには”終戦後と現在、ふたつの時代”が並行して描かれるからこそ見えてくる奥深い物語の姿がありました。美味しそうなカレーの描写に食欲が強く刺激されるこの作品。祖父と孫という二人の関係性を微笑ましく描いていく寺地はるなさんの上手さに魅了されるこの作品。『カレー』という料理が二つの時代を紡ぐ物語の中に、人のあたたかい感情を見る素晴らしい作品でした。2023/08/20
青乃108号
448
小山田義景は高度成長期をレトルトカレーの製造販売会社に勤め、猛烈に働いた。妻と3人の娘にかまう暇は無かった。仕方ない、そんな時代だったから。妻は夫の浮気を疑い3人の娘をおいて出奔した。令和の現代。義景の孫、佐野桐矢はカルチャーセンターで働き、仕事には特に何も求めず定時ぴったりに終業する。仕方ない、そんな時代になったから。独居し老いていく義景の面倒をみるため桐矢が同居する事になるが、世代間のギャップは如何ともし難く互いに分かり合う事は不可能で。そんな2人を繋ぎ留めるのは祖父のレトルトカレーだった。ふうん。2026/07/10
kotetsupatapata
412
星★★★★☆ 派手などんでん返しも無く、涙で心の泉が満たされる事はありませんが、ありふれた家族の日常を、独特の比喩を交えながら紡いでいく寺地はるなさんらしい1冊でした。 遮二無二に不器用にしか生きられなかった祖父の思いと、何か達観して全てを冷ややかに見つめている桐矢の考え方 双方のギャップがもどかしく感じました。 家庭を省みる事の無いように思えた祖父も、幼少期から家族に大切に思われなかった故どうしてよいかが分からないの件が心に刺さりました。 それ故妻と娘達との別離は義景の目にはどう写ったのでしょうか?2022/10/16




