出版社内容情報
器量よしとは言えないが、まじめで働き者の栄津。江戸末期を舞台に、武家の娘として生まれ、娘、妻、母として生き抜く女を描く。
内容説明
激動の時代をたくましく生き抜く、おたふく顔の働き者・栄津。器量よしへの嫉妬が止まぬ十七歳。口うるさい姑と幼子の世話に暮れる二十三歳。切り詰めた生活の中、家族を支える三十二歳…御徒(下級武士)の家に生まれ、貧しいながらその誇りを守る栄津の幸せとは―。
著者等紹介
中島要[ナカジマカナメ]
早稲田大学教育学部卒業。2008年、「素見(ひやかし)」で第2回小説宝石新人賞を受賞。10年、『刀圭』で単行本デビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
初美マリン
88
最初から強い女はいない強くなるのです。一生懸命にやっているのは、どんな時も清々しい。いつでも激動の時代かもしれない2018/09/20
baba
38
江戸末期下級武士の家に生まれ、苦労しながら育った栄津の一生を娘、嫁、妻、母と一生を連作で描く。我慢強く、自分の役割をきちんとこなす栄津が、思い通りにいかず人を羨み後ろむきになりながらも受け入れて生きていく姿が丁寧に描かれ日々の営みの大切さを伝える。2017/07/24
美月0217
30
この主人公、どこにでもいそうな感じがいいかも♪ ちょっとねたんだり、羨ましく思ったり・・ ぶつぶつ思ったり・・親近感がでます♪ 良いことばかりじゃないけどそれもそうですもんね♪ あっという間に読み終えました。2017/05/11
Kei
29
せつなくたて悲しくて。現代にも通ずるせちがらい話しなので、いたたまれなくなります。表紙の日本画が綺麗です。2017/09/08
ねこまんま
28
現代に生まれてつくづく良かったと思う。昔の女性は自分で物を考えたり意見を言ったりできず、男に言われるがまま、なすがまま。だけど、どんな時代でも他人の芝生が青く見え、ああでもない、こうでもないと言いながら、感情に左右され理性的に物事を見られないのは女性の本質かもしれない。現代は教育や、平等という理念によって小さい時から訓練されているからそんな女性ばかりじゃないけどね。嫁にさえ行けば幸せになれる、なんて今も昔も変わらない若い女性の勘違いが可愛らしい。2017/12/25