内容説明
市長選挙間近の京都。美人ジャーナリスト・東院純子は、保守派のスキャンダルを探るため怪僧・秀建に接近するが、秘密の館で身も心も裸にされてしまう。「女好きなのは、わしを嗤った世の中への復讐や」とうそぶく秀建が暗躍する市長選挙は、スキャンダル合戦へと発展。支配、快楽、復讐、裏切り―あらゆる欲と業を巻き込みながら、選挙戦は大波乱の結末に―絶賛とヒンシュクの嵐!極上の痛快エンターテインメント長編。
著者等紹介
花房観音[ハナブサカンノン]
兵庫県生まれ。京都女子大学文学部中退後、映画会社、旅行会社など様々な職を経て、2010年、第1回団鬼六賞大賞を『花祀り』(幻冬舎文庫)で受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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starbro
127
花房観音は新作中心に読んでいる作家です。本作はタイトルと団鬼六への献辞から完全な官能小説だと思って読み始めたのですが、結構真っ当な選挙小説でした。1月に読んだ「当確師」よりも断然面白かったです。当然エロスの要素も多々ありますので、性描写に嫌悪感を抱く人にはオススメしません。京都の魔物、魑魅魍魎が織田信長も殺害したのかも知れません。しかし宗教と性が密接に結び付くと精神と肉体の両方が満たされ、とんでもないことになりそう。要注意です!!!【読メエロ部】2016/04/08
じいじ
95
舞台は勿論、古都・京都。珍しく京女ではなく、元女子アナ・ジャーナリストの東京女が主人公。この35歳の女が、思いがけず体験する悦楽の極楽浄土。内に隠された女の性〈さが〉が暴かれる宴。これは、花房観音しか描けない世界、官能描写であろう。物語の本筋は、京都市長選挙。生ぐさ坊主(好色入道)率いる京都の伝統を守れという保守派と「新・京都計画」を掲げる革新派の一騎打ちの選挙戦。コミック・タッチが可笑しくて面白く楽しめる。花房官能の持ち味は、健在です。願わくは、タイトルと表紙の装丁は一考してほしかった。【図書館本】2016/11/22
優希
82
人間の果てしない欲望を見たような気がします。作品に登場する人々が皆性への思いを抱えている魔性が感じられました。特に坊主の好色っぷりが凄い。下ネタ連発で、快楽のみを求めて女を貪る。愛はなく、ただ自分の欲望のためだけに女を抱くというのが少し嫌かもしれません。肝心の選挙に関しては割と浅めな印象です。その分、性的な絡みが多く、完全に官能とエンタメを掛け合わせたような作品でした。この方は官能を描くのが得意なのですね。エロティックなのにコミカル。中々強烈な作品です。2016/11/03
pukupuku
54
お気に入りさんのレビューでちらちら見かけ,図書館の新刊コーナーで見つけたので,手にしてみた。う~ん。ちょっとエッチそうだなぁってエロ心を出したのがいけなかった。この本からは愛を感じなかった。2016/06/20
ナマアタタカイカタタタキキ
45
『花祀り』は未読だが、店頭で見かけたこちらを先に。これまでは慎ましやかなエロスを描いた著者の作品しか読んでこなかったので、清々しいほどの下品さに度肝を抜かれた。秀建のAV男優宛らの語彙力には笑ったが、彼はこの世に生きる上で見て見ぬふりをできないものの象徴のように思う。己は常に底辺であるという想いを胸に秘め、自覚的に俗物であり続ける者の闇とは。そこから見える地獄の光景とは。…いや、美女に惚れられたり勇敢な英雄みたいに描かれてる上に良い話風で締め括っていても、心底クズなハメ狂い坊主には違いないぞ、騙されるなw2020/07/29