内容説明
名古屋でフィギュアスケートに打ち込む小6の竹中朱里。だが、レッスン費用がかさむスケートを辞めさせたい両親に「バッジテストで5級に受かるか、県大会で3位以内に入らない場合はクラブを辞める」という条件を出される。バッジテストに落ち、県大会でも大きなミスをし、絶対絶命の朱里に、スケート連盟からある提案がなされて…。緻密な取材に基づくリアルなフィギュアスケート小説。
著者等紹介
碧野圭[アオノケイ]
1959年愛知県名古屋市生まれ。名古屋市立桜台高等学校、東京学芸大学教育学部卒業。フリーライター、出版社勤務を経て、2006年、『辞めない理由』(パルコ出版)で作家デビュー。著者自身がワーキングマザー編集者として、仕事と子育ての両立で奮闘した体験をもとに描かれた同書は、同じ立場の女性たちから熱烈な支持を受けた。いま最も注目を集める女性作家のひとりである(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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absinthe
162
フィギュアスケートを題材にした少女の成長物語。全体に捻りや謎も無い。その点素直すぎると言ってよい。それだけ純粋にスポーツに打ち込む姿が丁寧に書かれている。才能というのは各自違った形で持っているんだなぁ。各自苦手と得意が異なり、それぞれが克服していく。脱落するものもいるし開花するものもいる。コンパルソリーの話は面白かった。続編も読みたい。2021/11/09
utinopoti27
126
フィギアスケートの世界。世界大会レベルの試合は注目される一方、技の区別や採点ルールはもとより、育成システムなど、未知の部分が多いスポーツではないでしょうか。本作は竹中朱里という一人の少女スケーターの成長物語だ。上達の壁にぶつかり悩む彼女は、ある人物と出会うことで未知の領域に踏み込むことに。思春期の繊細な感情の揺れ、少しづつ輝きを放ちだす自分への驚きや戸惑い、いわゆるスポ根とは一線を画したタイプの作品です。静かな闘志はどこまでも熱く、氷上に火花を散らす。転機編から飛翔編へと続く本シリーズ、朱里の成長に注目。2018/12/23
真理そら
51
名古屋の女子中学生・朱里はバスケットから転向して姉のやっているフィギュアスケートを習い始める。バッジテストの仕組みやリンク確保の苦労、苦手な分野をマスターする苦労、競技を続けるための経済的負担の大きさ、才能への嫉妬など細かく描かれているが朱里の苦労や努力を描くためにはジャンプの種類やスピンの種類などの技の説明が不可欠で、この作品はその点は十分なのだが、そのため朱里の内面や周囲の人間関係が説明不足の感があり、ヒロインの朱里が少しわがままに見えてしまうのが惜しまれる。2025/03/31
あつひめ
44
この物語を読みながら、今、活躍している実在の選手たちの苦労を思った。どんな習い事も家族の協力があってこそ。特に母親の存在は大きなものだと感じた。夢を叶える努力…こういう物語こそ、児童書のように子供たちに読んでもらっったらいいような気がする。なんでも、親の都合で夢を潰しそうになるけど…親は親で本当はやらせてあげたいと言う気持ちは十分に持っている。でも…なかなか世の中は簡単にはいかない。夢を叶えられるのはほんの一握り。今の選手たちの努力を心から応援したくなる。2011/12/18
のびすけ
25
フィギュアスケートの青春小説。伸び悩んでいた朱里の大きな挫折、そこからの新しい出会いと飛躍的な成長。青春スポーツものの王道のような展開が、感情を心地よく揺さぶる。コンパルソリーやジャンプの技術的なこと、カテゴリーの仕組みなどが丁寧に説明されていて分かりやすい。続編もあるので、朱里のその後の成長を見守りたい。2025/01/02