内容説明
狐になりたかった少年の理由とは?化身、幽鬼、卜占、趙美人―。妖しく手招く中国唐代の奇譚集全七編。
著者等紹介
森福都[モリフクミヤコ]
1963年、山口県生まれ。広島大学医学部総合薬学科卒。’96年、『薔薇の妙薬』で第二回講談社ホワイトハート大賞優秀賞を受賞し、作家デビュー。同年、『長安牡丹花異聞』で第三回松本清張賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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星落秋風五丈原
16
化身、幽鬼、卜占、趙美人…。長安や洛陽などを舞台に、怪異な人間の情念に迫る中国唐代の奇譚集。狐になりたかった少年の理由とは? 狐の化身に弟子入りする少年を描く表題作のほか「鳩胸」「雲鬢」「股肉」「狐弟子」「石榴缶」「碧眼視鬼」「鏡像趙美人」の短編7篇が収められている。題名にもなっている「狐弟子」では、将来が楽しみな狐の弟子の馬孝児とお師匠様の毛潜の活躍がコミカルに描かれている。2005/11/27
にゃも
14
唐の時代を舞台にした奇譚集。そう言えば、この本とは不思議の系統は違うが、子供の頃『聊斎志異』のような話が大好きだった。今でも夏になると、なし仙人なんて思い出してはヨダレがた れそうになる。好きだと言いつつ唐代の景色や風俗がなかなか想像できない自分の知 識のなさにめまいを感じたり、淡白な筆致に最初は馴染みにくさもあったりしたが、 特に「碧眼視鬼」は淡白ゆえの距離感がむしろ人の世の滑稽さと物悲しさをじわじわ と感じさせ、とても良かった。 2020/06/27
アカツキ
12
中国、唐の時代を舞台にした7作品の短編集。面白かったのは、髪結い兼盗賊の男の見守り愛「雲鬢」、どうしても狐になりたい少年「狐弟子」、医者の息子と幽鬼憑きの少年「石榴缶」、幽鬼を視れる男性が知らずにしょい込んだ因縁「碧眼視鬼」。ファンタジー要素の強い作品が好み。一捻りきいた展開が魅力的な短編集だった。2022/11/16
BIN
11
唐代の奇譚集7篇です。個人的な好みとしては最後の2篇「碧眼視鬼」と「鏡像趙美人」。狐や幽鬼が普通に存在している世界が良い。いつものミステリ調なものを期待したのだが、まあこれはこれでありですね。「股肉」のオチはある意味そんな流れになるかなとは思っていたもののちょっと衝撃的。2018/08/26
ワッピー
9
森福ワールド3冊目。中国つながりで「肉屏風の密室」から飛び移りました。グラマーvsスレンダー「鳩胸」、どちらが真なのか「雲鬢」、琵琶の兄妹弟子の追う女「股肉」、狐になるための修行「狐弟子」、未来の見える少年「石榴缶」、幽鬼を見る者「碧眼視鬼」、兄弟画師の腕比べ「鏡像趙美人」の7編を収録。いずれも二つのうち一つを選ばせるテーマで、思いがけない結末の名編ぞろい。もともと中国の不思議話には目がないワッピーは大いに楽しみました。2018/05/23