内容説明
大手都市銀行の次長職から地方銀行の庶務行員となった恋窪商太郎。駐車場の整理とフロア案内の傍ら、融資に悩む後輩社員へアドバイスする…そんな日々に、以前より「人間らしさ」を取り戻した恋窪だったが―。「正義」を求めたばかりに組織を弾き出された男が、大銀行の闇に再び立ち向かう!メガバンクの内幕と、地方銀行の実情を描ききる銀行ミステリーの傑作。
著者等紹介
池井戸潤[イケイドジュン]
岐阜県生まれ。慶応義塾大学法学部卒業。三菱銀行勤務を経て、1998年『果つる底なき』で第44回江戸川乱歩賞を受賞
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感想・レビュー
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おいしゃん
60
池井戸氏お得意の銀行ミステリーだが、この作品ならではの特徴が二つ。一話ずつの短編になっているのだが、それらは独立しているように見えて、実は一話ずつ積み上がった謎が、最後にようやく繋がるという妙。もう一つが、その謎を自ら身を張って追い続けるのが、銀行員は銀行員でも、庶務行員であるという点。なかなか読み応えがあった。2014/05/30
ともくん
59
初期池井戸作品。 まだ、今のような重々しさがない。 そして、主人公の都合のいいように話が進んでいくなど、甘さも目立つ。 ただ、連作短篇集として読んでいくには、完成度は高いと思う。2019/11/07
Syo
45
池井戸潤作品なのでたぶん既読だとは思うけれど 続きが気になる2022/01/23
kazu@十五夜読書会
32
池井戸潤 金融 連作短編集。正義を追いライバルの罠に嵌り不祥事の責任を取らされ、大手銀行の次長職から地方の銀行庶務行員になってしまった恋窪商太郎の復讐劇。大手銀行の役員が絡む不正融資のからくりを平の銀行庶務行員が暴く。「不祥事」と同じ銀行内の不正だが、殺人・暴行事件が頻繁に起こり警察小説風、警察はまったく機能せず土壇場までだめだったが・・・・・期待はずれだった。2013/03/18
kotte
23
大手銀行を退職せざるを得なかった主人公が再就職した地方銀行で庶務行員として働きつつ、大手銀行在籍時に追跡していた銀行の闇に切り込むストーリーです。主人公の周囲の人は殺され続けていくのですが、主人公は殴る蹴るの暴行を受けるのみです。周囲の人がこんなに死んでいくなら主人公なんか真っ先に殺されるだろ…とツッコミを入れながら読んでいましたが、ストーリーはとても面白いです。ただ、最後は話が一気に進んでいく感じで、エンディングが駆け足になっていたので、もう少し細かく書いてくれたらよかったと思います。2017/03/12