内容説明
宿敵・項羽を破り天下を統一、その後、功臣を次々と粛清した男、漢王朝初代皇帝・劉邦。彼を取り巻く九人の人物に焦点を当て、その真の姿を浮かび上がらせる傑作中国歴史小説集。
著者等紹介
塚本青史[ツカモトセイシ]
1949年倉敷市生まれ。同志社大学卒業。日本写真印刷(株)勤務のかたわらイラストレーターとしても活躍後、’96年『霍去病』(河出書房新社)を発表して注目を浴びる。現在、塚本邦雄選歌誌『玲瓏』の発行人も兼務している
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感想・レビュー
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星落秋風五丈原
9
権力の最高位に就いた者はその時からずっと「安心」とは無縁の人生を送ります。たぶん死ぬ時まで。 またそんな人生を受け入れられる者だけが権力者となれる。 「安心」を手放した劉邦は、「単なる気のいいおやじ」ではいられなく なってしまいます。粛正される武将達の間に寵姫達の物語が登場しますが、 そちらには、「自分の子を後継者に」と願う劉邦の后である呂后の 魔の手が伸びます。凱歌の後」の劉邦と呂后は、眠りをなくしたマクベスとマクベス夫人のようです。両者とも、権力の頂点に立ったのに、ちっとも幸せには見えません。2006/12/09
ちゃいタイム
1
天下統一されても争いは終わらない。女の業が歴史を動かす怖さと、いつの時代にもあったことという不変の事実にも目を覆いたくなる。2014/06/27
きいち
1
天下統一後の漢。劉邦とその武将と姫妃たち。武将たちは「狡兎死して走狗煮らる」ごとく殺されることになるのだが。女のわが子を守ろうとする執念は歴戦の武将たちより恐ろしい。2012/04/08
伯修佳
1
英雄色を好む、というが劉邦は女に関してはアホだったのだな、というばかりの印象。2011/09/23