内容説明
西欧の魂に触れた男!千石船が嵐で遭難、一年四ヶ月後にメキシコ沖で、異人船に救助された。生き残ったのはわずか三名だった。異人達との心温まる交流の末に。
感想・レビュー
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茶幸才斎
1
江戸航路を帆走中、伊豆沖で嵐に遭った督乗丸の船頭、重吉は、16ヶ月の太平洋漂流の末、英国船フォレスタ号に救助されメキシコに到達する。彼を助けたピケット船長は、同じ海に生きる男としての敬意と親近感から、重吉を日本に帰したいと強く願う。北米大陸を北上し、カムチャツカ半島ペトロパウロフスクの厳冬を越すうちに、重吉は異人たちのリベラルで視野の広い考え方に触れるが、そんな彼を、閉鎖的で狭隘な祖国日本の現実が待ち受ける。苦難に負けない重吉の真っ直ぐさとピケット船長の温かい真心が実にすがすがしい。面白かった。2010/01/29