内容説明
「75年間草木も生えない」といわれたヒロシマで、翌年の春、芽を吹き返した木々。その小さな緑に人々は生きる力を取り戻した。原爆で焼かれ傷つきながらも芽を吹き返し、今も生き続けている被爆樹58か所約170本を、写真つきでエピソードとともに紹介。
目次
はじめに―被爆樹を知っていますか?
被爆樹巡礼 原爆から蘇った約百七十本に会いに行く(青少年センター西側のシダレヤナギ;広島城二の丸跡のユーカリ;広島市役所のソメイヨシノ ほか)
八月六日の記憶―一樹一樹に物語がある(京橋川を泳いで渡ると、ぼろぼろのシダレヤナギが立つていた 証言者・北川建次さん;菩提樹の木の下で見た母と弟の炎を忘れない 証言者・國分良徳さん;被爆クスノキとともに取り戻した鎮守の森 証言者・野上光章さん ほか)
被爆樹巡りモデルコース 原爆から蘇った木に会いに行こう(コースA 原爆ドームをスタートし、広島城へ;コースB 原爆ドームから市役所方面へ向かう;コースC 原爆ドームをスタートし、北へ、市電の終点へ ほか)
著者等紹介
杉原梨江子[スギハラリエコ]
文筆家。広島県出身。叔父が被爆体験証言者。日本の木の文化、世界の木にまつわる伝承や神話、思想を中心に、植物と人間との交流の歴史を研究。被爆樹、巨樹、御神木などへの取材撮影の旅を続けながら執筆活動を行う。日本文藝家協会会員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
新地学@児童書病発動中
114
被爆して枯れることなく生き残った樹を紹介していく本。幹がねじれたり、火災による傷痕が残ったり、洞ができたりといった樹の姿が痛々しい。それでも、どの樹もあの地獄のような焦熱地獄から甦ったことに、畏怖の念を覚えた。爆心地から一番近いところに立っていたヤナギは、翌春には芽を出したそうだ。物言わぬ樹という存在は人間が想像する以上に強靱な生命を持っているのかもしれない。その命の強靱さに心を打たれた。たとえ原爆のことを語り継ぐ人間がいなくなっても、これらの樹は無言の証言者として重要な役割を担っていくはずだ。2015/12/18
Nobuko Hashimoto
11
広島の原爆で傷つきながら生き残った被爆樹木をていねいに紹介する本。被爆樹木を守った人々の証言も掲載。被爆樹をめぐるモデルコースも。被爆者が高齢化し、被爆体験の伝承はあとの世代に引き継がれようとしているが、人間や建物等よりも寿命の長い樹木は、「現場」に残る「現物」として悲劇と復興を伝えてくれる存在になる。それにしても植物の生命力はすごい。児童書の『広島の木に会いに行く』とともにおすすめ。学生と広島スタディツアーに行くときには、2冊を参考に、被爆樹にも会いに行きたい。2018/08/12
えいとうっど
1
極めて個人的なお気に入り度合い:★★★★☆4点 広島の街中をランニングしているとあちこちで被爆樹と出会います。たくさんの人の生き死にを見てきたんだなぁと畏れます。2017/06/26