出版社内容情報
百年近く前、子どもたちの間に友情が育つようにと、アメリカから日本へ贈られた人形たち。大歓迎されたのに、アメリカと戦争になったため、その多くが焼かれたり、壊されたりした。戦後、埃をかぶった人形が何体も発見された。ひっそりと守りぬいた人たちがいたのだ。戦後の新しい友情人形の復活までをたどる早希と美久。
内容説明
友情は平和でこそ平和はたがいを知り合ってこそ。子どもたちの間に友情が育つようにと、アメリカから日本へ贈られた人形たち。しかし、アメリカとの間に戦争が―。
著者等紹介
今関信子[イマゼキノブコ]
1942年東京生まれ。東京保育女子学院卒業。幼稚園教諭を経て創作活動に入る。日本児童文学者協会会員
双森文[フタモリフミ]
2021年よりフリーのイラストレーターとして活動(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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雪丸 風人
15
戦争の哀しさを、人の死をほとんど描かずに伝える画期的な作品でした。親善のために海を渡り子どもたちに贈られた人形が、両国の関係悪化により文字通り引き裂かれた過去。そんな狂気に染まっていた時代にも、青い目の人形を守ろうとする人々がいたというのは新鮮な驚きでしたよ。ただの美談で終わらせてはいけない。平和を尊ぶ気持ちを未来に受け継ぐんだという覚悟を感じました。明治以降の近代史から紐解いてゆく、歴史学習にも役立つ一冊です。見た目に女子向け感が漂いますが、これは男子にも薦めたいですね。(対象年齢は11歳以上かな?)2025/03/29
弥都
2
関西弁の児童口調に慣れず断念。友情人形(青い目の人形)とは戦前に日本へ送られた日米親善を目的としたものや戦後に被災を激励し、平和の象徴を目的とした人形のこと。日本全国では約300体が現存しているそうだ。概要が知れたので良しとする。2025/05/24
たくさん
1
甲南第二小学校というところが舞台。コロナ下とかウクライナ侵攻とか今のリアルタイム感がとても出ているため10年後に読むと古臭くなるタイプの今が旬の本です。人形の風習ひな祭りや戦時下のアメリカの様子なぜ戦争が起こって人形が捨てられたかなどオーソドックスに書かれている。それを調べた武田先生や近隣の日野市の小学校のことも書かれている。身近な調べ学習のイメージとして滋賀ローカルな範囲での人形についてこういう調べ物の仕方をしたいなと思わされる本でした。2024/09/02