出版社内容情報
百年前の痛ましい出来事。教科書には、"流言が広がる中、自警団などにより殺傷された"などとある。では流言はなぜ流れ、また自警団とはどういう人々だったか。事実を認めず真相を「歴史家がひもとく」などとする政治家もいる中、埼玉で真実を探求してきた歴史家が、具体的物証とスケール大きな時代把握で解き明かす!
内容説明
国や県の関与を示す物証!今と未来のため歴史を知る。
目次
第1章 歴史修正主義の台頭
第2章 虐殺の引き金になった県の「移牒」
第3章 なぜ、異例の恩赦が出されたのか
第4章 在郷軍人の「不逞鮮人」経験
第5章 朝鮮人虐殺事件の歴史的背景
第6章 加害責任の自覚と戦後社会
著者等紹介
関原正裕[セキハラマサヒロ]
1953年生まれ。日朝協会埼玉県連合会会長、本部執行役員。さいたま教育文化研究所副所長。一橋大学社会学部卒業。一橋大学大学院社会学研究科博士後期課程修了。1978年から2019年まで埼玉県立高校社会科教員。2012~13年埼玉県高等学校教職員組合中央執行委員長。2018~22年歴史教育者協議会副委員長(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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kenitirokikuti
10
図書館にて。2023年7月刊行。映画『福田村事件』を契機にこの種の話題をおさらいしている▲著者は1953年生まれ、一橋大卒、埼玉県立高校社会科教員、県高校教職員組合専従、日朝協会埼玉県連合会会長、歴教協副委員長など。妻は新日本婦人の会浦和支部専従。本書は定年後、大学院に提出した博論がベース。史学徒ではないようだし、共産党系の教職員組合の主張の枠内に留まっている。著者の狙いには反するだろうが、私が拾ったのは、1946.9.1の関東大震災虐殺犠牲者追悼大会に、アカハタが「白色テロの記念日」と書いたこと。2023/10/13
二人娘の父
7
関東大震災発生時に起きた朝鮮人虐殺の真相を、地域史料から明らかにするという労作。論点はいくつかあるが、①「不逞鮮人」に対応すべきとの文書を行政が発出していた、②虐殺当事者の自警団への特赦、③自警団の中心となった在郷軍人の存在と役割、④地域住民の責任など、地域に視点をおいた新たな論点がいくつか提起されている。虐殺から100年という歴史が経過するなかで、地域史研究のなかでこうした原資料を明るみに出す作業は貴重であることを再認識させられた。2023/08/17