内容説明
初めて出会った野生のゴリラ。一瞬で魅了される。分厚い胸板。山のような肉体。威圧感。想像を絶する怪力の持ち主。だけど子煩悩で遊び好き。争いを好まない。素顔のゴリラに会える写真絵本。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
けんとまん1007
51
前川さんの写真展に行き、2枚の写真に魅入られてしまった。そのうちの1枚がゴリラの写真。何と言えばいいのだろうか、ゴリラの持つ姿・眼・佇まい・家族の姿。どんな言葉で表現しても、表しきれないものがある。住む世界・自然そのものを、全て受け入れかつ、自分たちのものにしているようであり、それでいて横暴さのようなものがない。想像を絶する力強さと、慈愛に満ちた懐の深さを持つ存在。それがゴリラなんだと思う。人は、その前で、自分自身の在り様を試されてしまうのではとすら思う。2024/08/22
絵本専門士 おはなし会 芽ぶっく
20
マウンテンゴリラの写真絵本。「ゴリラを見てみたい」という思いから初めてのアフリカへ。そこで出会ったゴリラに魅了され4年間おいかけることになる。群れの中心であるシルバーバックや子どもたち、そんな近くで写真が撮れるなんて!と驚く写真も多数。言葉はなくてもそこに強い信頼があるからこそだろう。ただ内戦の犠牲になっているゴリラたちも多く、信頼を壊しているのは人間であることにも気づかされる悲しさがあった。2022/09/04
春風
9
ゴリラはローランドゴリラとマウンテンゴリラという名称が一般に知られていると思うが、本書は日本国内では見ることのできない、アフリカ赤道直下の火山帯を生息地とするマウンテンゴリラが主人公の写真絵本である。対象年齢は小学生かと思われるが、大判の美麗な写真が満載されているので、大人でも楽しめる。写真家の前川氏がマウンテンゴリラの撮影行において、行ったこと、考えたことが文として載っている。面白かったのは、写真を撮っていたところ、メスゴリラに腕を掴まれたエピソード。マウンテンゴリラのマッドな光沢を放つ毛並みが美しい。2022/08/05
timeturner
7
今日は「世界ゴリラの日」だそうなのでこれを読んだ。「ゴリラが見てみたい」その思いにつきうごかされてアフリカまで行ってしまった写真家が、初めて見たシルバーバックのマウンテンゴリラに魅了され、4年間通い続けて撮った写真たち。撮った人の気持ちがそのまま表れ、ここに捉えられているゴリラの家族は本当に愛情豊で、幸せそうで、人間の身勝手でこの幸せを壊すようなことを許してはいけないという気持ちになる。2022/09/24
遠い日
6
いつも迫力ある写真を撮られる前川貴行さんだが、この本では想像を絶する至近距離でのど迫力のゴリラたちに圧倒される。馴れなどではなく、ゴリラたちがまさに人間を試し、観察しているのだ。ゴリラのやみ難い魅力にとりつかれ、アフリカ行きを決行し、4年を費やす。シルバーバックの威厳、子育て中の母ゴリラの存在感。そしてゴリラの社会の秩序。深林の減少がここでも問題になる。ブッシュミートには慄然とした。まさか、ゴリラまで。ゴリラたちの目の魅力的なこと。意思ある光に、沈黙のことばが見て取れるようだ。2022/07/20