内容説明
昭和天皇の回想録『独白録』と公式伝記『実録』なども分析!天皇が実際におこなった戦争指導・作戦指導の実例を示して、その戦争責任を究明する!
目次
第1部 大元帥としての昭和天皇(近代天皇制における天皇;昭和天皇の満州・朝鮮観と膨張主義思想)
第2部 昭和天皇の戦争指導(昭和天皇と軍事情報:大本営による戦況把握と戦況奏上;昭和天皇の戦争指導・作戦指導)
第3部 昭和天皇の戦争責任(徹底検証『昭和天皇独白録』;徹底検証『昭和天皇実録』;天皇の戦争責任を考えることの意味)
著者等紹介
山田朗[ヤマダアキラ]
1956年、大阪府生まれ。明治大学文学部教授、歴史教育者協議会委員長。著書多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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CTC
13
新日本出版社の新刊。著者は『昭和天皇の戦争』の山田朗(明大教授)。かつては著作で“ヒロヒト”と書いていた程の著者であるから、買うには勇気が要るのだが、フツーならば踏み込まない処を書いてくるので、抗し難い魅力がある。「航空部隊だけの攻撃か」「現地軍ハ何故攻勢二出ヌカ」。これらは沖縄方面の特攻作戦に対して、或いは持久方針の沖縄現地軍に対して、昭和天皇が発した有名な言葉だが、まぁ向き合えないっすよ、普通。前者は“大和特攻”、後者は“自殺行為”の攻勢移転を惹起しているのだから。悪いのは忖度する者共ではあるのだが。2019/07/26
ふみ
10
あの家系の人々に敵意はないが敬意も全然ない私としては、米国の占領下において昭和天皇の利用価値がいかほどのものであったか想像がつかない。その辺りの事情を終章あたりで簡潔に書いててくれて納得。米ソ(ソ連は戦争責任ありとしていた)のパワーバランスを保つには昭和天皇が無実でなくては困ったわけですね。著者は一貫して天皇に戦争責任はあるとして論じる。私もまた、あるに決まってんだろ、ボケ、と思っているので非常に気持ちよく読了。国家元首で大元帥だったんでしょ?昭和天皇に戦争責任はある。2024/09/18
みなみ
10
昭和天皇は平和主義であったが戦争せざるを得なかった、軍事作戦については知らされていなかった…こういうイメージが神話のように貼り付いているように感じる。昭和天皇は軍部の作戦に介入していたし、戦況も把握していた。平和主義者・昭和天皇のイメージは、戦争責任の免責のための戦略である。という、いわば虚飾の神話にメスを入れるが如き一冊。だいたいそんな感じかな〜と思ったが、昭和天皇を退位させたい派がいたが排除されてしまったというのはこの本で初めて見た。山田朗氏の著作は既に買ってあるものもあり、近日中に読んで学びたい。2021/08/02
Eiki Natori
7
ウクライナ政府の宣伝動画で、ヒトラーとムッソリーニと昭和天皇が並べられていたことに、日本政府が抗議し削除させた事件があった。その時にネトウヨを中心に「昭和天皇は平和主義者だった」的な言説が流布されていた。たしかに一般的にはそういう認識であり、ある意味そう教わってきた部分があるが、資料を紐解くと、昭和天皇が積極的に戦争に加担してきたことが明白である。同じ著者の「大元帥昭和天皇」と並び、歴史学者の凄みを感じる一冊。 天皇の「戦争責任」が問われなかったのは、GHQが日本の「共産主義化」を恐れただけにすぎない。2022/05/06
えび
2
戦争について勉強。 あんな戦争があったのになぜ天皇制が維持されているのか不思議で読んでみた。 昭和天皇は戦争に対して無知でも情報を知らされてなかったでも、平和を望んでいたのでもなかった。(支配することが平和と思ってたのかもしれないが)終戦後適当な非共産主義リーダーがいなかった+昭和天皇が占領政策へ協力的だったことから天皇には何も罪は無かったという事にされた。 そういう流れだとすると非常にしっくりくる。 また読んでて天皇も周りの人の意見に左右されるなど色々あったんだろうなと思った。 色々考えさせられる。2022/03/29