内容説明
中国農民の「武器なき闘い」。トンヤンクイ(東洋鬼=日本軍)に親きょうだいを殺されたツァオシンは、少年隊へ。一方、母さんが従軍看護婦として召集された東京の武二は―。
著者等紹介
岡崎ひでたか[オカザキヒデタカ]
1929年東京都生まれ。日本児童文学者協会・日本子どもの本研究会会員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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みー
12
ただただ「戦争の悲劇は繰り返してはならない!!」と、切に願うばかり。中国と日本、それぞれの国に住む少年の目を通して、それぞれの国での戦争が描かれている。戦争の勝ち負けに関係なく、「戦争」に巻き込まれた人々は悲劇だ・・。周りの愛すべき大人たちが次々に亡くなっていく恐怖と喪失感は、想像しがたい苦痛だろう・・。太平戦争の説明も別途載っており、分かりやすくなっている。2017/02/06
ねこ
5
読むのがしんどいような気がして、しばらく積読にしていましたが、やっと読みました。盧溝橋事件から終戦までを、日本と中国を舞台に描いた大作。思ったよりは明るい内容で、ほっ。子どもたちが逞しく必死で生き抜いてゆく姿に思わず力が入りました。この時代、赤十字で働く看護師のもとにも赤紙がきたのだなあ。初めて知りました。戦争は起こしてはいけない。絶対に。2016/12/25
猫と旅する
2
ー本文よりー 「一番悪いのは戦争をおっぱじめて、人殺しを命令しておるやつらだ。そいつらはな、てめえは安全なところで、戦争で出世したり、ぼろもうけしていやがる。」「トンニャンピーの兵隊たちは、上のやつらの悪事のために、たった一つの人生を捨てさせられておるんじゃ。」2017/06/12
菱沼
2
言葉もない。日本と中国、遠く離れていたはずの場所で、それぞれの国の少年たちの姿が重なる。戦争であれば、どの国のどの少年にもあてはまる物語。自分の国だけが被害者なのではなく、自分たちだけが悲惨な思いをしたのでもなかった。あとがきにあった中国訪問の際のエピソードが胸に痛い。2016/08/27
mimi
2
翻訳物に肩を並べられるほど視野の広い児童文学作品がやっと日本でも書かれるようになった感。太平洋戦争の歴史をおさらいするにも読み応えあります。2016/01/21