内容説明
「新自由主義ジャパン」を圧倒する書。世界史的にも前代未聞のギリシャ・ユーロ危機や大阪・橋下派の本質と問題点も鋭く解明する。
目次
第1章 グローバル化のなかの民主党政権の終焉
第2章 日米欧の新自由主義的帰結からうまれる福祉国家の課題
第3章 競争国家にむけた社会保障・税一体改革
第4章 3・11後の社会サービス保障をめぐる対決軸
第5章 新自由主義からの脱出路としての新福祉国家
第6章 新自由主義の反動的脱出策としての「橋下主義」
著者等紹介
二宮厚美[ニノミヤアツミ]
1947年生まれ。神戸大学名誉教授。経済学、社会環境論専攻(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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壱萬参仟縁
11
『経済』の出版社の本。3・11による新自由主義スパイラルへのブレーキ(44頁~)。2000年代小泉から民主党野田政権までの回顧がある。TPP参加で競争力に劣る産業、地域、企業、人は必ず衰退・没落(53頁)。賛否共通の論点。マル経的な説明もある。生活の質に直結するのは、社会サービス労働の欠乏・不足による貧困問題(180頁)。介護難民、孤独死、待機児童問題などだ。新自由主義下における生存権保障の問題。1%のために99%が涙を呑むという、前者は全部カネで解決できるが、後者は社会(制度・法律・政策)を必要とする。2013/11/01
sumjin
1
「アベノミクス」なる言葉が、その実体からかけ離れて、あたかも今の日本のデフレを止め、生活を改善するかのような幻想を振りまいているが、新自由主義に基づく旧来の自民党型政治の継承にすぎず、さらに国民生活を破壊し、日本をより疲弊させていく最悪の政策であることがよくわかる。今こそ、憲法25条の「欠乏からの解放」、9条の「恐怖からの解放」が不可分に結びついた「平和的生存権保障国家」を目指す視点の重要性を認識させられた。2013/03/07
kadoyan
1
3.11の経験から、新自由主義国家と福祉型国家の対比がさらに鋭く問われる中、野田政権の税と社会保障一体改革への批判、橋下の新自由主義的思考のなかでの政策とともに、橋下の個人の性質にもよる独裁制へ鋭く批判をおこない、どのように福祉型国家をつくりだすのかの展望も語っている。著書の大学教員としての最後の執筆ともなるであろう力作である。2012/05/10