内容説明
やさしい光をはなつ星野道夫のエッセイを新構成でつむぐシリーズ。
目次
アラスカとの出合い
ルース氷河
十六歳のとき
早春
歳月
もうひとつの時間
旅の終わり
ベーリンジア、消えた草原
新しい旅
ワスレナグサ
トーテムポールを捜して
著者等紹介
星野道夫[ホシノミチオ]
1952年千葉県市川市生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業。動物写真家田中光常氏の助手を経て、アラスカ大学野生動物管理学部に留学。以後アラスカの自然と人びとの暮らしを見つめ、写真と文章で記録し続ける。86年アニマ賞、90年「Alaska風のような物語」(週刊朝日連載)で第15回木村伊兵衛写真賞受賞。96年8月、カムチャッカ半島での取材中、ヒグマの事故により急逝(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
キジネコ
50
圧倒的で美しく厳しい、と評すことができる自然への賛辞は、そのまま表現者星野道夫の印象に繋がります。そして彼の視線がとらえる優しさが風の様に読者を包み命の水際を軽々と超えさせてくれます。極北の地平に立って彼はジッと見つめています。人々を、自然を、命の連鎖を。一個の生命にとって此の世界は不確定。彼の地へ引き寄せられ定住を決意し子をなす星野。しかし彼は、何処まで行ってもゲスト、旅人でしかない自分に溜息をつきます。アラスカの民への羨望、もっと言えば嫉妬なのか?と自身に問うてみれば大いなる自然が否と笑顔で答えます。2017/02/07
ろくべえ
14
中1ブックトークで紹介。星野道夫さんという名前を言っても初めて聞くという反応。しかしこの本にも収録されている森の写真を見せると「あー!」と6年生国語の「森へ」を思い出す彼ら。星野さんの写真にはそれだけの力がある。16歳での単独アメリカ放浪の旅。その後、なぜアラスカに魅せられ、移り住んだのか。星野さんの人生がギュっと詰まったとても読みやすい一冊。しかし全ての言葉が美しく、重く、深い。2017/11/21
nao1
13
この人は 大きな生命の塊としての地球を感じられる人だったんじゃないだろうか?日本とは対極の暮らしのあるアラスカで、研ぎ澄まされた五感からうまれる文章。アラスカの静謐な流氷のきしみ、インディアンでさえその場所を知ることができないトナカイの群れの足音、雪に吸い込まれる音なき音が聞こえてきそうだ。古代の廃村の朽ちたトーテムポール。言葉を持たないものが語りかける詩は美しく、そして哀しい。 また、この人は命に限りがあり、残された時間を早くから意識している、夭折することがわかっていたのだろうか。2018/06/09
ヒラP@ehon.gohon
11
アラスカの大自然に魅せられて、いきなりチャレンジの扉を開けてしまった、星野さんのストレートで破天荒な人生の断片集です。 詩情と夢に溢れているところは、今までに読んだ写真集やエッセイより凝縮感があります。 言葉や風習や生活習慣の壁が、いとも簡単に乗り越えられているところ、すべてのものをあるがままに受けとめているところ、その姿勢、生き方には学ぶことばかりです。 最後はヒグマに襲われて命を失ってしまった星野さんですが、きっと悔いはないのでしょうね。 2014/07/30
せんとえん
10
「アラスカの詩」全3巻の一冊。児童書ということで、先日読んだ「悠久の時を旅する」より写真も文章も少ないが、世界観はそのまま。他の2冊も合わせて読みたい。2021/05/06