内容説明
1920年代のアメリカ南部。「ぼく」は、本が読みたいという気持ちでいっぱいでした。でも、黒人は図書館を利用することができません…。本と出会い、肌の色がちがっても、「自由」を求めてやまない人びとを知り、成長していく「ぼく」―。黒人の子どもたちを主人公に、本を読む楽しさや図書館の魅力について描いた絵本。
著者等紹介
ミラー,ウィリアム[ミラー,ウィリアム][Miller,William]
アラバマ生まれ。ニューヨーク州立大学でアメリカ文学を修め、ヨーク大学で文学創作とアメリカ黒人文学を教えている。実在の人物や出来事に関する児童読み物を著している。ペンシルベニア州ヨーク在住
クリスティ,グレゴリー[クリスティ,グレゴリー][Christie,Gregory]
ニュージャージー生まれ。ニューヨーク美術学校在学中、グッゲンハイム美術館で働く。『こころはシュロの樹:黒人の子どもたちの詩集』で、コレッタ・スコット・キング賞(イラスト部門)を受賞。ニューヨーク市ブルックリン在住
斉藤規[サイトウタダシ]
東京都生まれ。筑波大学附属高等学校教諭。大学で学校図書館学を教えている。子ども向けの著書、訳書がある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
とろこ
84
読んでいて辛くなった。本を読みたいと思った時、私たちは、買うなり、図書館を利用するなりして、読める。けれど、この絵本の主人公は、貧しさゆえに買うこともできず、図書館は利用できない。黒人だ、という理由だけで。そもそも、字が読めないだろうという差別と嘲笑。同僚の支援もあり、隠れながらも本を読めるようになった彼。本は彼を自由へと導いた。それは、彼にとって、紛れもない事実だろう。だが、彼を苦しめていた諸々のものは、現在も存在している。世の中の全ての人が、読みたい本を、自由に読める、そんな世界になってほしい。2017/10/01
Hideto-S@仮想書店 月舟書房
79
1920年代のアメリカで青春を過ごした一人の黒人男性の物語。黒人は図書館を利用することができなかった当時、古新聞を拾って読むことが彼の何よりの楽しみだった。本を読むのが長年の夢だった彼は、仕事の同僚に頼み、図書館の扉を開けた……。後に作家になったリチャード・ライト氏の自伝の一場面を描いた絵本。好きな本を読めるという〈当たり前の〉幸せを改めて大切にしたい。2015/06/21
はたっぴ
68
【海外作品読書会】1920年代のアメリカ南部では黒人が図書館を利用することが出来なかった。母親に文字を教えてもらったリチャードが17歳になり、職場の白人から図書カードを借りて初めて図書館に向かう時の喜びと緊張が伝わってくる。ディケンズ、トルストイ…。本には肌の色が白いにもかかわらず、苦しい境遇にある人々が描かれていた。リチャードはこれらの本を読むことで「これまでの僕に戻ることはない」と決心する。〈読書〉が自由への切符になったのだ。これは自伝小説『ブラック・ボーイ』の一部だという。ぜひ小説も読んでみよう。2015/12/12
neimu
62
人権関係の絵本という捉え方も出来るが、要は世界を知るためにどのように自分の世界を広げていくかという内容だと思いたい。2012/05/18
NAO
59
アメリカの黒人文学の魁リチャード・ライトの青年時代のエピソードを絵本にしたもの。当時、図書館で本を借りることができたのは白人だけだでお使い黒人が入館するのも、嫌がられていた。そんな状況でも、リチャードは、一人の同僚に「図書館カードを使わせてほしい」と言わずにはいられなかった。彼なら大丈夫だろうと思っていても実際に貸してくれるかどうかはわからない、とんでもなく生意気だと告げ口され職を失うかもしれない。リチャードにとっては、本当に勇気のいる申し出だっただろう。そして、頼まれた同僚にとっても、⇒2024/05/24