内容説明
わたしは証言をつづけます。わたしの青春と名誉の回復のために―。日本軍「慰安婦」としての日々を強いられた李容洙さん。戦後の韓国で沈黙を続けるが、1992年、体験者であると名乗りをあげた。各地で精力的に日本軍による性暴力を告発する李容洙さんの半生と、現在の思いを綴る。
目次
第1章 十五歳のわたしにおこったこと
第2章 性奴隷の日々
第3章 戦争が終わった
第4章 破られた沈黙
第5章 「歴史の証人」として
終章 李容洙さんへの手紙
著者等紹介
李容洙[イヨンス]
1928年韓国大邱生まれ
高柳美知子[タカヤナギミチコ]
東京生まれ。早稲田大学卒業。中学・高校の国語教師を経て、現在、“人間と性”教育研究所所長。日朝協会代表理事。撫順の奇跡を受け継ぐ会会員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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たまきら
29
女性として決して許せないのが性奴隷だ。どの国がどのように正当化しようとも、許せない。だれかの母親かもしれない。妻かもしれない。確実に誰かの娘である女性たち「慰安婦と性交した」と認める者はめったにいない。なぜなら悪いことだとしっかりわかっているからだ。暴力的な性行為は魂の殺人だ。女性の魂だけではない。その行為は良き夫の、息子の、父親の魂を殺すのだ。多くの人々の呻き声と苦しみ…歴史の中に弱者は葬られようとしている。けれども出し切れなかった膿のようにしこりは残り、痛みを与え祟り続けるのだ。2020/12/25
ヒラP@ehon.gohon
16
男としても、鬼となった軍人たちの蛮行は許すことが出来ません。人間は道具や器具ではない。常軌を逸した世界は戦争がもたらした物かも知れないですが、被害に遭われた方々の傷は消えることがないことも、痛感します。 二度とこんな事が起こらないことを願いつつ、愚かで気の弱い人間として、自分がそこに居なかった幸福も感じました。2021/01/09
せっちゃん
14
よくテレビで慰安婦という、言葉は知ってましたが、本で読んでやっと、本当の事実が解りました。戦争は本当に人を滅茶苦茶にする、恐ろしいと思いました。2度と繰り返さないためにも、歴史を学ぶ必要があると思いました。2021/09/01
千加
14
図書館の棚で少年期にも手に取りやすい場所にあり 、歴史を知りたいので読んだ。知らないで生きること、過ぎて行くことに無知を思い知る。事実をどう探るか、学び活かすのか。賠償金請求ばかりされて、悪事をした日本人と蔑まれ続けているようなイメージしか持たない。本には未だ賠償されていないと書かれている。どうなのか?歴史の被害者として何代にも渡り請求し続けるのか?そこは書かれていない。日本の青少年に語り、被害者の傷みを分かち、運動をし続ける人々に、人間の残酷さや歯止めの教育までは必要だとわかる。戦争がもたらす脅威→
Takao
2
図書館の「ティーンズ・コーナー」で目にして早速読んだ。著者は韓国人元「慰安婦」の李容洙(イ・ヨンス)と、性教育で知られている高柳美智子さん。あとがきで「過去に眼を閉ざすものは結局のところ現在にも盲目になる」という、戦後40年のヴァイツゼッカーの言葉を引用しているが、今の日本にとっても思い起こさなければならない箴言だ。来年はもう戦後70年になる。2014/12/29