内容説明
足みじかおじさんは無名である。カッコよくない。でもぼくらが悩む時、ひそやかに悩みを解決してくれるひとが、そんなひとがいれば助かる。ここに集めた、足みじかおじさんのみじかいお話がいくらかあなたの心をなぐさめることができたなら、それが作者のよろこびです(まえがきから)。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
やすらぎ
187
この地球の全てが友だちだから、目の前のことから一つずつ叶えていこう。頬を伝う冷たい雫も、雲の微笑みを探し歩く日々も、そんな心の声が聞こえれば、現実と夢の境界線を彷徨っている足みじかおじさんはやってくる。どんな悩みも過ぎてしまえば夢のよう。でも今はそばにいたい。少しでも喜んでくれたらいいな。その温もりに応えるように空は満天の星に満たされていく。会うべくして会える時がある。乾ききった風もいつか潤う日が来る。影のような小さな存在に出逢えたら、それはあなたにしか見えない心の奥にいるもう一人の自分なのかもしれない。2023/05/30
へくとぱすかる
48
タイトルから連想されるようなパロディではない。作者が長年書き継いでいた短い話を、90歳になってまとめたもの。「おとなの」と言うだけあって、テーマの重いものが多いが、さらりと一陣の風のように、あとに何かを残していく。アンパンマンのように明快な解決ではないところが、苦さも酸っぱさもある大人のメルヘンにふさわしい。平和の天使の話には、一番ぐっときた。2016/01/31
のえる
46
図書館本。黒いボーラーハットを目深にかぶり黒いアタッシュケースを片手に持つ足みじかおじさん。人が悩んでいるときや助けてほしい時にそっと寄り添い、優しい言葉を掛け、背中を押してくれる存在。かっこつけず時には羽目を外してリラックスする彼でもあるから親しみを抱く。 現実世界とメルヘンが融合されたやなせ氏のおとな向けメルヘンショートストーリー集。なかなかハードそうな現実にありそうな場面描写もあり、具体性が感じられるぶん夢を見せてくれるお話。2021/10/23
ベーグルグル (感想、本登録のみ)
38
黒いボーラーハットを目深にかぶり、黒いアタッシュケースを片手に、悩んでいる人や助けてほしい時に寄りそってくれる足みじかおじさんショートショート。そっと寄り添ってくれるというのがやなせさんらしいなあ~。2022/09/04
Roko
34
困った人がいると、どこからともなくボーラーハット(山高帽)をかぶった足みじかおじさんが現れます。そして、その人の悲しみや悩みから助けてくれるんです。でも、おじさんはいつも謙虚に「足長おじさんほど有名ではない、わたしにできることは、ほんのちょっとしたことだけ」と言い、いつのまにかいなくなってしまうのです。 この本はやなせ先生が90歳の時に「詩とメルヘン」」と「食生活」に連載していた短い物語を集めて出版されたものです。「詩とメルヘン」が懐かしいです。いつも高校の図書室で読んでいました。2023/06/19