内容説明
文学で時代を先駆けた樋口一葉の素顔。二十四歳の若さで人生を閉じた謎多き明治の女流作家の実像に彼女の生きた時代と社会を見つめ直すことで迫った画期的評伝。
目次
1 夏子と樋口家の人々
2 歌塾「萩の舎」
3 小説家への道
4 一葉の恋
5 小説稼業
6 “塵の中”の格闘
7 反骨の転身
8 奇跡の十四ヵ月
9 晩年の一葉
著者等紹介
沢田章子[サワダアキコ]
1942年生まれ。文芸評論家・日本民主主義文学会会員
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
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kawa
26
社会の底辺に生きる下層庶民を描く名作「たけくらべ」や「にごりえ」が、貧困に窮し士族意識をかなぐり捨てて色町・吉原のすぐ近く龍泉寺町で商人生活を体験したことがきっかけであったことを初めて知る。そんな歴史を知るにつけ、その町にある「一葉記念館」にまた再訪したい思い新た。24歳の急逝直前で数々の名作を連発し「奇跡の14カ月」と呼ばれる一葉の人生、小説を読む如きで、読了の後はしばし放心状態。2020/10/16
ひろゆき
3
一葉の日記があるから、伝記としては事実を追いやすく、書きやすいよね。作者沢田さんの文章も上品でした。家計が火の車で、母親と妹を率い苦闘する家長、一葉がいじらしい。金を貸さない相手を心の中で罵倒する気性の烈しさ。明治女の気骨が伝わる。晩年(と言っても二十四歳だが)は文壇の人気者だから、鴎外や緑雨などから、結構かまわれていたのだな。作家としての収入がもっと早く安定すれば、健康も維持できたでしょうに。残念。2012/07/11
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