内容説明
日本列島の六世紀、九州を舞台に何が起きたのか!豪族・磐井がヤマト王権と交戦したと伝えられる「磐井の乱」。その謎を克明な文献考証で解明、東アジアの激動をからめた新しい視点から古代国家形成への道をたどる。
目次
第1章 今、なぜ、「磐井の乱」なのか
第2章 文献の痕跡、探究の足跡
第3章 王権の確立、種族の統合
第4章 筑紫の王者、その権力のありさま
第5章 東アジア、475年~532年
第6章 戦争と政変と南加羅滅亡、その年次の問題
第7章 戦争の事実、そののちに来たもの
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
月をみるもの
15
いままでなんとなく「朝鮮半島は長期間にわたって高句麗・百済・新羅・加羅に分裂してて、統一までに時間がかかったんだなあ」などと思っていた。しかしよくよく考えてみれば、当時の倭国も北九州・出雲・吉備・大和というクニグニが割拠していたのだ。半島よりも遅れていたので、自分たち自身ではまともな文字記録を残すことができず、ようやく文字を覚えた数百年後に当時の権力者がでっちあげた文書が日本書記。ここから、どうやってバイアスをとりのぞき、倭国への統合プロセスを復元するのか。。文献学の醍醐味と限界をたっぷりと味わえる。2019/07/18