内容説明
経験批判論の認識論的根源を究明するため、20世紀初頭の数々の新発見を前に生じた「物理学の危機」問題に深くわけいり分析した本書は、弁証法的唯物論の立場から、自然科学の新たな前進の展望をもきりひらいた。下巻には原著第4章以降を収め、「自然科学の革命」による哲学上の混乱、史的唯物論と認識論、理論の党派性問題などが論じられる。
目次
第4章 経験批判論の戦友および後継者としての哲学的観念論者たち(左からと右からのカント主義の批判;「経験記号論者」ユシケヴィチが「経験批判論者」チェルノフを、どのように嘲笑したか、について;マッハとアヴェナリウスの戦友としての内在論者 ほか)
第5章 自然科学における最近の革命と哲学的観念論(現代物理学の危機;「物質は消滅した」;物質のない運動は考えられるであろうか? ほか)
第6章 経験批判論と史的唯物論(社会科学の分野へのドイツの経験批判論者の団体旅行;ボグダーノフは、どのようにマルクスを修正し「発展させている」か?スヴォーロフの「社会哲学の基礎」について ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
実存主義的マルクス主義者を目指して勉強するアライさん
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この本でレーニンが示した哲学にかんする根本的視点は、哲学には二つの基本的な方向として唯物論と観念論が存在することだ。またそれと同程度に重要な提起は、その両者を調停し、和解させ、両者を超脱した高みを目指すような第三の道を指し示す哲学は存在しえないこと、たとえそれを新たに創出せんとする試みが企てられたところで、その考案者の主観的な評価がどんなものであるにせよ、それは結局客観的に見て唯物論と観念論のどちらかに落ち込んでしまう、ということ。哲学においても階級対立の視点を貫いてこそ真のマルクス主義者たりうるのです。2019/10/21