感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
Timothy
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『兎の眼』という本に対する子どもの感想は、「うさぎのような優しいきれいな眼」「無言の抵抗の眼」「差別のカーテンで覆われた眼」とばらばらであった。それが本来の読書であるはずだ。しかし我々はどうしても、あるものを見ると唯一の意味づけをしたくなってしまう。ある文学作品の解説書で研究者の解釈を読み、「本当はそういう意味だったのか!さすが専門の先生は違うなあ」と感銘を受け、まるで最初に持った自分の感想を上書きされてしまったかのように、以後その説にとらわれてしまうことは決して珍しくない。読書まで権威主義になりがちだ。2016/06/10