内容説明
北京郊外の洞窟で50万年の長い眠りのすえ発見された北京原人―。この人類史上貴重な標本が日本の中国侵略のもとで忽然と消えた。発見の経緯と失踪の謎にせまり、日本人とのかかわりを考える。
目次
1 北京原人の発見
2 北京原人の失踪
3 古人類発見のあゆみ
4 人類の起源を考える
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
まーくん
43
’89年、天安門事件の余韻冷めやらぬ北京で開催された「北京原人第一頭蓋骨発見60周年記念」国際シンポに参加した著者が”北京原人”発見と失踪の経緯について、発掘関係者の見解を交え解説。発掘は当時、ロックフェラー財団により北京に設立された協和医学院の主導で北京西南、周口店で開始。’29年、若き中国人学者裴文中が最初の頭蓋骨を発見。しかし’37年、近隣で発生した”盧溝橋事件”により作業は中止。’41年12月、戦火拡大に伴い医学院保管の”木箱”は米国へ向け鉄道で渤海沿岸秦皇島へ・・。その後の行方は杳として知れず。2019/02/05
Takao
2
1991年12月20日発行(1992年3月25日、第3刷)。30年近く前の入手。「北京原人」が行方不明になっていることは知らなかったが、本書の広告を見て求めたのだと思う。この「ミステリー」を高校社会科の授業で活かすことはできなったが、改めて読み終え、1929年に「発見」された北京原人がまさに日本帝国主義の中国侵略の渦中で翻弄されたことを知った。本書前半は、北京原人失踪の謎解き。後半は、その後の中国での「古人類」発見のあゆみと、「人類の起源を考える」。難しくて読めない漢字が多かったが、ちょっと知識が増えた。2021/09/04