内容説明
教育をうける権利は、国との関係においての自由権・社会権的内容をふくむとともに、親や大人と子どもの関係、教師と子どもとの関係などをも紀律する複合性をもっている。むしろ文化・教育基本権という新しい範畴を考え、基本的人権のカタログを組みかえる必要を感じさせる。本書は、教育における自由を軸として、これを積極的に捉えかえし、教育をうける権利の保障構造を解明することを課題とした。
目次
第1章 子どもの人権・権利とその保障
第2章 教育権と教育をうける権利
第3章 教育権における自由と平等
第4章 教育をうける権利を保障する関係
第5章 教育科学と教育法学との統一
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
katoyann
25
子どもの権利を最優先に保障すべきことを念頭におきながら、教育権と教育の自由について考察した研究書。1990年の著書のため、時代状況は異なるが、子どもの権利には保護の客体という側面と主権の行使者の主体という側面があり、その保障責任は大人にある。例えば、子どもの自由意志に従って行動の選択を自由化した場合には、発達や学習に関する権利を毀損する恐れがあるとする。つまり、子どもの権利保障は選択の自由の追認だけで済むような簡単な話ではない。また、親の教育権も自由を認めた先の親の恣意による権利侵害があり得るとする(続)2022/03/29