感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
amanon
4
訳文は平明で読みやすいのだけれど、細部まで理解しようとすると、かなり厄介な代物であるのも確か。特に日本人には馴染みの浅い、西欧の数の単位など、なかなか皮膚感覚でわかりにくい。このあたりに詳細な注釈をつけてくれると、その内容はぐっと身近なものになるように思うのだが。また、第一巻を読了した後、先に読んだ佐々木隆治の解説書を読むとより理解が深まると思う。そして、何より心に迫ったのは、終盤で描かれた当時のイギリスの労働者階級の悲惨な状況。この状況は、今日の格差社会に通じるもので、今一度検証されねばならない。2025/05/16
Takao
2
資本論講座に参加しながら読み進んだ。予習が間に合わず、復習でようやく読み終えた。第2分冊では、第8章「労働日」(Working Day、労働時間のこと)が読みやすく、その内容も印象に残った。エンゲルスの『イギリスにおける労働者階級の状態』でも、当時のイギリス政府の諸調査を活用して労働者の状態を克明に綴っていたが、『資本論』でも、1850−60年代のイギリスで、言語に絶する過酷で非人道的な労働が横行していたことがよくわかる。150年近くを経たいま、世界を席巻している新自由主義がそれを再現している。2015/11/09